本研究課題では、主として2000年代の英語圏における文学テクストにおける身体加工表象を分析、考察したが、その際、「ポストヒューマン」の議論において、同様の境界形象として取り上げられることも多い「サイボーグ」等の概念にも言及した。そしてこうした身体加工が潜在的にアイデンティティ・カテゴリーを撹乱する力をはらむことには解放の側面を指摘することも可能である反面、身体がいっそう厳しい管理の対象とされつつある現在の社会、経済的文脈にこれらのテクストを位置づけるとき、その解釈は両義的なものとならざるを得ないと結論づけた。
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