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2012 年度 実施状況報告書

合衆国の芸術文化政策・文化戦略とアメリカ舞台芸術実践のポリティクス

研究課題

研究課題/領域番号 24520276
研究種目

基盤研究(C)

研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

戸谷 陽子  お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (30261093)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードアメリカ演劇 / 舞台芸術 / 文化政策 / パフォーマンス
研究概要

本研究の目的は、アメリカ合衆国舞台芸術の理論と実践における、ポリティクスの諸問題についての研究の一環として、国家的な文化戦略および自治体・非営利団体等公共の芸術文化助成のあり方を、演劇実践活動の(美学的・政治的)な戦略との関係性において歴史的に再検討し、合衆国の芸術文化政策・外交文化戦略との連動を明らかにすることで、この関係性をとらえなおし、舞台芸術論および現代アメリカ演劇史の文脈の中で、再度位置づけを試み、今世紀の展開を標榜するための新たな学術的指標を提示することにある。
平成24年度は「近代演劇における公共性の概念の成立と芸術概念」のテーマに沿って、主に歴史的な背景を確認しつつ、基礎研究を進めた。ピューリタン国家として長らく公の演劇が禁じられていた合衆国連邦の独立後、国民国家の文化装置として演劇がどのように要請され位置づけられたか、人口増加や都市の拡大にともなう大衆娯楽の要請と、中産階級の教養として求められた芸術(演劇)価値観の成立について、具体的には19世紀末から20世紀初頭にかけて、全米の興行権を独占した興行主団体「シアトリカル・シンジケート」の台頭と、その利益追求を批判した批評家の言説や、中産階級の観客が中心の観劇啓蒙団体「ドラマ・リーグ」設立の経緯等を検証した。その際「正統な」(legitimate)という語をキーワードに当時の演劇の価値基準を規定した、この団体の勧める観客の受容についても確認するために、劇評を収集・分析した。(参考文献: Butsch, Richard. The Making of American Audiences: from stage to television 1750-1990.Cambridge: Cambridge Unv. Press, 2000)

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

【本研究の全体の目的】アメリカ合衆国舞台芸術の理論と実践における、ポリティクスの諸問題についての研究の一環として、本研究は、国家的な文化戦略および自治体・非営利団体等公共の芸術文化助成のあり方を、演劇実践活動の(美学的・政治的)な戦略との関係性において歴史的に再検討し、合衆国の芸術文化政策・外交文化戦略との連動を明らかにすることで、この関係性をとらえなおし、舞台芸術論および現代アメリカ演劇史の文脈の中で、再度位置づけを行うことを目的とする。
【達成度】研究の初年度として、基礎研究を中心に行い、出版資料の収集・分析等を行ったことで、今後の方向性を確認することができたと考える。その意味で目的全体の達成度は4分の1程度と自己評価する。
【本年度計画の達成度】
学内業務で海外出張が複数回あったため、当初予定した海外研究出張を実現できず情報収集という点では、年度計画の実行がすべて果たせなかったことを考慮に入れ基礎研究の達成度は8割程度と考える。

今後の研究の推進方策

【本年度研究計画】
「国家の芸術助成と文化政策:連邦演劇プロジェクトと全米芸術基金(NEA)」のテーマに沿って、大恐慌の時代から第二次大戦を経てNEA設立に至るまでの、国家が介入した演劇のプロジェクトとその文化政策(戦略)について検証する。アメリカ現代演劇の代表的な劇作家アーサー・ミラーも、テネシー・ウィリアムズも若い頃(1930年代)に連邦政府の芸術助成を受けて作品を制作しているが、この連邦政府の助成(Federal Theatre Project)の成立過程を検証し、またミラーやウィリアムズらの一次資料から、これらの制度に関連する言説を検証し、彼らが当時大陸から受けたモダニズム演劇の影響をどのように昇華させようと実験したかを考察する。さらに、第二次大戦後に設立された全米芸術基金の成立過程を検証し、この基金の影響力および戦後の合衆国芸術文化政策と、実際に助成を受けた作品や作家について詳細に検討する。
【研究期間を通じた研究計画】
研究期間を通して基礎研究を行うこととし、これには日米両国の現代演劇関係の図書および学術誌、演劇雑誌のほか、より広い視野からこの研究内容の実効性を与えるために、各国演劇史にとどまらない演劇理論、パフォーマンス理論関係の図書雑誌資料のほか、社会学、思想哲学、芸術学、あるいはアート・アドミニストレーション関係等の図書雑誌資料の収集、さらに、演劇関係及びそれに関連した分野のDVD等の映像資料の収集が含まれる。

次年度の研究費の使用計画

【基礎研究】日米両国の現代演劇関係の図書および学術誌、演劇雑誌、各国演劇史、その他演劇理論、パフォーマンス理論関係の図書雑誌資料の、社会学、思想哲学、芸術学、アート・アドミニストレーション関係等の図書雑誌資料、演劇関係及びそれに関連した分野のDVD等の映(25年度500000)【海外調査出張】ニューヨーク公立図書館舞台芸術分館での資料収集(25年度400000円)【人件費・その他】資料整理に150000万円【その他】調査先での複写代、郵送代等(50000円)

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] テネシー・ウィリアムズと前衛演劇の親和性2012

    • 著者名/発表者名
      戸谷陽子
    • 雑誌名

      アメリカ文学

      巻: 73号 ページ: 18-26

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公開日: 2014-07-24  

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