研究実績の概要 |
2002年、キューバのヘミングウェイ邸フィンカ・ビヒアの地下室に埋もれていたヘミングウェイの原稿、手紙、メモ、その他の書き物が発見され、世界中に大きな衝撃を与えたことは記憶に新しい。アメリカ合衆国とキューバとの合意のもとで約3,000点の資料についてボストンのJFK図書館で電子アーカイブ化が進められており、これらにアクセス可能となれば、これまで謎が多かったキューバ時代のヘミングウェイにアプローチするための重要な手がかりとなることは間違いないが、JFK図書館での資料の全面的な公開はまだ実現していない。本研究は、JFK図書館で未公開となっているこれらの資料をキューバで調査し、キューバで人生の三分の一を過ごしたノーベル賞作家の現地での生活、創作活動、政治活動を、蔵書リサーチと現地インタビューにより明らかにすることを目的とした。 本研究では、2012年度と2013年度に各1回、キューバでの現地調査を行い、調査の途中経過をキューバで行われた国際学会(2013)で発表した。現地調査では、ヘミングウェイの蔵書のなかで動物行動学に関するものを中心にリサーチを行い、自筆書き込みの確認とカメラ撮影による資料の保存を行った。さらにフィンカ・ビヒアのヘミングウェイ博物館館長であるローザ氏と、生前のヘミングウェイと交流があったフィーコ氏とカユーコ氏にインタビュー調査を行った。最終年度にあたる2014年度は、主として2013年に行ったインタビュー調査の結果を踏まえ、とりわけ動物行動学へのヘミングウェイの関心に焦点をあてて論文1本を執筆し(共著として出版予定)、国内学会での発表を1回行った。
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