禁酒小説は対象となるテクストの入手が困難なものが多く、できるだけ多くの信頼できるテクストを収集することが前提となる。研究期間中に何度かアメリカ出張を行い、図書館等でかなりの資料が入手できた。その整理、分析を継続的に行っている最中である。 研究の成果は学会での口頭発表、著書の出版、論文発表で行った。とりわけ、アルコール依存の家庭で問題が生じたとき家庭を出ていくのはもっぱら男のほうで、責任が妻にある際も妻は家庭に残るという現象をいかに考えるかにつき、当時の家庭観、結婚観とのかかわりで解明できたことは、禁酒小説研究にとどまらず、19世紀アメリカ文化を検討するうえで意義深い。
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