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2012 年度 実施状況報告書

日本的『ハムレット』翻案作品の研究―<書き換え>メカニズムの解明―

研究課題

研究課題/領域番号 24520286
研究種目

基盤研究(C)

研究機関神戸大学

研究代表者

芦津 かおり  神戸大学, その他の研究科, 准教授 (30340425)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードHamlet / Shakespeare / rewriting / adaptation / Juran Hisao / Robun Kanagaki
研究概要

日本で生まれた『ハムレット』翻案作品に焦点を合わせ、翻案成立時にはたらく「書き換え」のメカニズムを体系的・歴史的に解明することを本研究はめざす。
本年度は、本邦初の『ハムレット』翻案完結作である、仮名垣魯文の『葉武列土倭錦絵』(1886年)のテキストと、同劇の「初舞台」とされる1991年グローブ座公演の上演脚本を(むろん密接な相互関連性はあるとはいえ)独立した文化的産物、二つの「書き換え」作品として位置づけ、それぞれの書き換え行程に作用した諸事情を、時代的・文化的背景も踏まえながら考察した。そして、それぞれの作に体現される<東西文化融合>の特質を明らかにしつつ、ややもすると同一視されがちな両者のあいだに見られるズレ / 亀裂を指摘した。さらに、それらの考察を通して、両者を隔てる約100年間に生じた日本シェイクスピア受容の異なる様相も浮き彫りにした。その成果は研究論文として発表した。
さらに、大衆作家・久生十蘭の翻案二つの『ハムレット』翻案を研究対象に取り上げた。久生は、シェイクスピア悲劇『ハムレット』をいったん「刺客」(1938年)に書き換え、さらに終戦直後の1946年に大幅な加筆修正を施したうえ「ハムレット」として発表している。これら二つの「書き換え」作品のテキストを細かく分析することにより、いかに第二次世界大戦・敗戦・GHQによる占領という、書き換え時の歴史的背景が、翻案成立に深い影響を及ぼしているかを明らかにしつつ、「ハムレット」の体現する政治的寓意性を具体的に解明した。成果は、学会において発表したのち、研究論文(投稿中)として発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた研究の対象に変更があったものの、ほぼ「書き換え」のメカニズムの具体的解明という点では、予定通り研究を進められている。ただし、海外における『ハムレット』翻案の資料収集/研究という点では、予定していたほどの成果があげられていないのが現状である。

今後の研究の推進方策

おおむね、交付申請時の予定通りに進める予定である。ただし、上でも述べたように、海外における『ハムレット』翻案の資料収集と研究という側面は、当初の予定より少し遅れているため、今年度はより多くの時間を注ぐつもりである。

次年度の研究費の使用計画

PC(ノートブック)の購入予定はなくなったので、その分を海外における研究費用に回したい。それ以外の点では、消耗品(書籍や映像資料の購入)、旅費(資料収集・調査や学会発表のための国内・海外旅費)、人件費(英語論文の校閲)、雑費(複写費)のいずれにおいても、ほぼ申請時どおりの使用を予定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 二つの『葉武列土倭錦絵』をめぐって――<東西文化融合>の背後にあるもの2012

    • 著者名/発表者名
      芦津かおり
    • 雑誌名

      Albion

      巻: 58 ページ: 1-19

    • 査読あり
  • [学会発表] 久生十蘭「ハムレット」(1946)の政治的寓意を読み解く

    • 著者名/発表者名
      芦津 かおり
    • 学会等名
      関西シェイクスピア研究会
    • 発表場所
      近畿大学

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公開日: 2014-07-24  

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