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2014 年度 実施状況報告書

日本的『ハムレット』翻案作品の研究―<書き換え>メカニズムの解明―

研究課題

研究課題/領域番号 24520286
研究機関神戸大学

研究代表者

芦津 かおり  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (30340425)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードHamlet / adaptation / rewriting / Japan / Shakespeare
研究実績の概要

日本で生まれたシェイクスピア『ハムレット』翻案作品に焦点を合わせ、翻案成立時に働く「書き換え」のメカニズムを体系的・歴史的に解明することを本研究は目指す。
本年度はまず、投稿中であった久生十蘭の『ハムレット』翻案に関する論文の加筆修正を行い、ようやくフランスの学術誌への掲載を決めることができた(出版は2015年5月の予定である)。国内外でほとんど認知されていない翻案を世に知らしめる点、さらに第二次世界大戦、原子爆弾投下、GHQ占領などの世界的な重大事件をめぐる政治的寓意を明らかにした点で、シェイクスピア翻案研究への貢献は少なくないと信じている。
つづいて、堤春恵作の翻案喜劇『仮名手本ハムレット』(1993年)についての研究を行った。そして同作が、20世紀末日本において、あまりにも確立され、当たり前で「異質性」を失ってしまった悲劇『ハムレット』のあり方や、名作家として君臨するシェイクスピアの中心性・絶対性を相対化しつつ、この悲劇を生まれつき理解できる、楽しめると錯覚する日本人に、日本の演劇的・文化的ルーツや、これまでの受容の紆余曲折の道のりをあらためて考えさせるものであることを示した。その成果は十一月の京大英文学会において口頭で発表した後、現在は論文として執筆中である。
また夏のイギリス出張においては、海外(主に英語圏)で発表された『ハムレット』翻案作品、シェイクスピア劇の翻案作品に関する資料収集・研究を重点的に行った。本研究をまとめる際には、日本人による翻案との比較材料として活用したいと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上でも言及したように、久生十蘭の翻案に関する論文を投稿した際に、投稿先ジャーナルの要請や書式スタイルの違いにより、数回にわたる大幅な加筆修正を行わねばならなかったことが原因である。しかしすでに述べたように2015年5月出版が決まり、計3回の校正作業も終えたので、遅れをとりもどすべく、次の課題の完成を急ぎたい。

今後の研究の推進方策

最終年度は、これまでの研究結果に、以前行ってきた関連研究(具体的には、日本初のハムレット第四独白の珍訳(1874)、仮名垣魯文『葉武列土倭錦絵』(1886)、志賀直哉『クローディアスの日記』(1912)、太宰治『新ハムレット』(1931)、大岡昇平『ハムレット日記』(1955)、黒澤明映画『悪い奴ほどよく眠る』(1960)に関する個別研究)を統合し、一貫性とテーマ性をもたせながら総括する作業に専念したい。海外出張時には追加リサーチを行う。最終的には、日本的『ハムレット』翻案にみられる<書き換え>のメカニズムに関する大きな研究をまとめる予定である。

次年度使用額が生じた理由

計画していたPCの購入が果たせなかったため。

次年度使用額の使用計画

次年度に予定していたPC購入費用として使わせていただく。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Grave Relations: Hamlet , Jyuran Hisao’s ‘Hamuretto’, the Emperor and the War2015

    • 著者名/発表者名
      Kaori Ashizu
    • 雑誌名

      Cahiers Elizabethains: A Biannual Journal of English Renaissance Studies

      巻: 87 ページ: 65, 77

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.7227/CE.87.1.4

    • 査読あり
  • [学会発表] 堤春恵の『仮名手本ハムレット』と日本の『ハムレット』受容史2014

    • 著者名/発表者名
      芦津かおり
    • 学会等名
      京大英文学会
    • 発表場所
      京都大学文学部
    • 年月日
      2014-11-15

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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