「異形なものの」としてイングランドの体制文化を聖化する役割を担わされてきたカトリシズムは、体制文化こそ本来の姿からの「逸脱」だと批判し、カトリック中世の価値を主張することで、イングリッシュネスの回復を主張した。G.K.チェスタトン、H.ベロックなどのカトリック者は、物質主義による霊的価値の喪失、帝国主義が愛国心に誤読されたことに刺激され、一つのヨーロッパを実現していたクリスンダムに再接続される必要を感じた。アングロカトリックのT.S.エリオットも、17世紀のアングリカニズム内部にあったカトリック性をイングリッシュの根幹に位置付けた。総じてカトリック的立場に立つ人々の志向性は反近代主義にある。
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