研究概要 |
本研究は、基盤研究(C)「ジョン・ディーの一次資料に関する基礎的研究」(平成21年-23年 研究代表者 横山茂雄)を踏まえて、そのさらなる展開を目指すものであるが、本年度は以下のような内容の研究を実施した。 ジョン・ディーとエドワード・ケリーの共同作業の最終段階については、昨年に引き続き、ローゼンベルク侯の援助の下、トシェボニュに滞在していた時期、及び、ディーと別れてからのケリーの活動をさらに明らかにすることができた。たとえば、錬金術師としていったん高い名声を得たケリーがルドルフ2世に逮捕された経緯や、エリザベス女王周辺のそれに対する反応、行動などについては、The Fugger News-Letters や Annals of the Reformation and Establishment of Religion などの一次資料の調査によって、かなりの細部まで発掘することができた。また、イングランドに戻ってから没するまでのディーの活動についても研究を進め、たとえば、協力者のひとりトマス・ウェブの履歴に関しては、Calendar of State Papers, Domestic Series, of the Reign of Elizabeth, 1591-1594などの精査によって、幾つかの重要な事実が判明した。 以上も含めて、研究成果の多くは、研究社よりの刊行が決定している単行書『神の聖なる天使たち』(仮題、単著)において発表する。同書は平成26年度内の刊行を目指している。
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