本研究は18世紀から19世紀の後期近代英語の語彙に注目し、当時の社会的背景を踏まえ、その意味を明らかにするものである。 理性・道徳・感情に関する語彙を取り上げ、そういった抽象語が文学作品において、価値の重層性を描き出すのに効果的に機能することを指摘し、小説の登場人物の人物像の形成やアイロニーの構築にも貢献していることを明らかにした。 また、評価的意味を表す語は、その内容的意味が時代とともにますます曖昧になり、使用者の主観を反映し、文脈に依存する傾向を強めること、また、一人の作家においても、書簡と小説とで語の用いられ方に異なる点が観察されることを明らかにした。
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