研究課題/領域番号 |
24520293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小谷 耕二 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (40127824)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 英米文学 / ウィリアム・フォークナー / ウィリアム・アレクサンダー・パーシー / ジェイムズ・エイジ― / ゾラ・ニール・ハーストン / アレン・テイト / 南部文芸復興 |
研究概要 |
本研究は1940年代初頭に出版された4つの文学作品を通して当時のアメリカ南部の文化的自画像を探る試みであるが、平成24年度は以下のような活動を行った。 1)南部文化史・思想史関連の文献の収集を行った。 2)研究対象となる作品のうち、William FaulknerのThe Hamletを精読し、この作品に関する主要論文をいくつか参照しつつ、論点の整理を行った。またもうひとつの研究対象作品William Alexander PercyのLanterns on the Leveeに関しては、関連文献を読む段階にまでは至っていないが、作品そのものの再読を行っている。 3)Percy論をまとめるための基礎的な関連作業として、ほぼ同時代の文学作品2点、すなわち、William FaulknerのGo Down, MosesとAllen TateのThe Fathersについて、それぞれ「モリー・ビーチャムと歴史の書き直し―フォークナー『行け、モーセ』最終章を読む」、「アレン・テイト『父たち』再考―南部の文化的自画像を読む」という論考を紀要に発表した。前者は南部農園主の思考や情動、とくにパターナリズムと、それに対抗する言説を具現する黒人像について論じたものであり、後者はテイトが描きだす南部の文化的自画像に作者自身のモダニスト的感性がいかに反映しているかを考察したものである。いずれの論考も本研究の課題に直接間接に関連するものであり、研究を進めていくうえで有効な準拠枠となるものである。とくにテイト論は、この作品を正面から十分に論じた文献が日本においては稀であるため、その点においても意義のある論考であろうと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では平成24年度に、Faulkner, Go Down, MosesとTate, The Fathersを比較考察の対象として、PercyのLanterns on the Levee論の準備を行い、次年度に論文にまとめる予定であった。Go Down, Moses論とThe Fathers論は完成したが、Percy作品の論点の整理がまだできていない。その点では遅れているともいえるが、一方で平成25年度に行う予定であったThe Hamletの解読・分析を先取りする形で実施している。その意味で現時点での全体的な達成度はまずまずではないかと思う。
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今後の研究の推進方策 |
1)Eugene D. GenoveseのRoll, Jordan, Rollや、Bertram Wyatt-BrownのSouthern Honorといった、歴史学者・南部史家の代表的著作を参照しつつ、Percy論の準備を進める。 2)アメリカの大学図書館、公立図書館に赴き、Percy論のための文献収集を行う。 3)前年度に引き続き、The Hamletの解析を進める。 4)James AgeeのLet Us Now Praise Famous Menを再読し、論点を整理する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)前年度に引き続き、南部文芸復興期の作家、思想家の著作、および南部文化史、思想史関連の文献を収集する。 2)文献収集のためアメリカの大学図書館、公立図書館に出張する(予定である)。
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