研究課題/領域番号 |
24520294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 勤 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (10216731)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ソロー / エマソン / コンコード / エレミヤの嘆き / ローカル・ナラティブ / ピルグリム言説 |
研究概要 |
平成24年度の研究計画は、まずソローの「社会改革論集」における「コンコード・エレミヤ」というレトリックについての考察を進めることであった。「マサチューセッツの奴隷制度」「原則のない生活」「市民政府への反抗」等の社会改革エッセイにおいて、ピューリタン言説、あるいはコンコードの戦いの英雄性がどのように引用されているかを整理することが目的であった。より具体的には、平成22年度に行った研究発表「コンコード・エレミヤーソローの時代のレトリック」(日本英文学会82回大会)の内容を拡充し、著書の一部に組み込むことであったが、予定通り論考を執筆して『コンコード・エレミヤ』(単著、金星堂、2012年)を刊行した。さらに本研究課題に関連した2冊の図書を刊行した。1点は『環大西洋の想像力――越境するアメリカン・ルネッサンス文学』(共編著、彩流社、2013年)で、もう1点は『ソローとアメリカ精神――米文学の源流を求めて』(共著、金星堂、2012年)である。 さらに本研究課題に関連する2件の研究発表を行った。1件は「殉教のレトリック ー コンコード、プリマス、ハーパーズ・フェリー」(九州アメリカ文学会第58回大会、於熊本大学、2012年5月8日)であり、もう1件は、「野性の文化論」(比較文明学会九州支部大会、於香蘭女子短期大学、2012年7月28日)である。 研究費の使用計画として平成24年夏期にアメリカ合衆国において10日程度の研修を行う予定にしていたが、入試業務の責任者を務めていたため、海外出張に出ることを控えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度中に、本研究課題に関する単著『コンコード・エレミヤーーソローの時代のレトリック』(金星堂、2012年)を上梓し、研究の進捗に対する一定の成果が得られたと考えている。しかしながら、19世紀前半のマサチューセッツ州における地方史の刊行とその背景についてはまだ整理できていない部分も多く、今後の研究課題としたい。特にラルフ・エマソンによる「コンコード歴史言説」を精読し、その演説のレトリックとともに政党政治との関連性を考察したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究計画としては、コンコードの歴史言説、およびマサチューセッツにおける地方史ブームの背景(ローカル・ナラティヴの形成)について考察を進めたい。より具体的には、Lemuel Shattuck, A History of the Town of Concord (1835)、Ralph Waldo Emersonの “Historical Discourse”、Bronson Alcott の Concord Days (1872)、Edward Jarvisの回想録 Traditions & Reminiscences of Concord Massachusetts 1779-1878 (復刻版1992)等を参照することにより、コンコード言説を構成する要素とそのレトリックの特質について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実質的な研究方法としては、備品として新たな図書の購入が必須となるほか、夏期には10日程度アメリカ合衆国の大学等の研究機関において研修および資料収集を行なう予定である。 (1) 備品として、アメリカ超絶主義思想関係図書、コンコード文化史関係図書 購入する。(2) 国内の資料収集は。九州大学図書館、西南学院大学図書館のほか、国立国会図書館、東京大学附属図書館等で行なう予定である。(3) 海外での資料収集に関しては、ハーヴァード大学図書館、コンコード公立 図書館、および申請者が学位を取得したペンシルヴァニア州立大学の図 書館等で行う。
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