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2015 年度 実績報告書

十九世紀末から世紀転換期の女性医師著述家研究―文学・医学・フェミニズム

研究課題

研究課題/領域番号 24520297
研究機関茨城大学

研究代表者

市川 千恵子  茨城大学, 人文学部, 准教授 (10372822)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードアラベラ・キニーリー / エイジング / セクシュアリティ / ジェイムズ・ヒントン / ジェイン・エリス・ホプキンズ
研究実績の概要

平成27年度の前半は、医師・著作家のアラベラ・キニーリーによる小説と雑誌論説における老いの問題を考察した。昨年度の研究において明らかにしたキニーリーの理想的女性の身体美への執着と優生学への傾倒から発展させ、彼女の著作における老いの表象の歪みを読み解くことができた。彼女の著作は、若い身体への執着を過剰に攻撃する一方で、若さに価値を置く時代の潮流と、老いという新しい課題に直面した19世紀の人々の動揺を描き出す。また、女性のライフサイクルと心身の変化に関する指南書(Seven Ages of Woman: A Consideration of the Successive Phases of Woman’s Life, 1915) を出版したメアリ・シャリーブは、女性の老いに心の成熟という価値を示唆する。19世紀末の文化的葛藤のなかに現代社会のアンチ・エイジングをめぐる消費文化の前兆を見出すことができた。以上の研究成果については、British Association for Victorian Studiesの年次大会(テーマ:Victorian Age(s))において、研究発表を行った。さらに、平成27年度の後半は、男性医師で思想家のJames Hinton(1822-1875)の著作研究を行い、女性の身体に注がれる時代の医学的言説を多角的に検証した。また、Hintonから影響を受けたとされるフェミニスト活動家・作家のJane Ellice Hopkins(1836-1904)の文学作品と社会浄化運動の著作を読み解いた。Hopkinsは、長編小説Rose Tanquard (1876)において、医師を目指しながらも挫折するヒロインと、恋人の医師から受けるヒロインの性的暴力の経験を描き、性のタブーに挑む。この作品は『ジェイン・エア』との間テクスト性を見出すことができ、日本ブロンテ協会から依頼を受け、年次大会において研究発表を行った。また、HintonとHopkinsの著作における性道徳と欲望の葛藤に関しては、2016年8月31日~9月2日に開催される学会(University of Cardiff)での研究発表が採択されている。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 図書 (3件)

  • [学会発表] "Governing Desires versus Consuming Pleasures: Jane Ellice Hopkins, James Hinton, and Conflicts in Sexual Politics"2016

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa, Chieko
    • 学会等名
      The British Association for Victorian Studies
    • 発表場所
      University of Cardiff
    • 年月日
      2016-08-31 – 2016-09-02
    • 国際学会
  • [学会発表] 「孤児のヒロインの物語が描く家族―『ジェイン・エア』と『ローズ・タークァンド』」2015

    • 著者名/発表者名
      市川千恵子
    • 学会等名
      日本ブロンテ協会
    • 発表場所
      立正大学
    • 年月日
      2015-10-17
  • [学会発表] 「書評家としてのギャスケル」2015

    • 著者名/発表者名
      市川千恵子
    • 学会等名
      日本ギャスケル協会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2015-10-03
  • [学会発表] "The Aged Body and Sexuality in Arabella Kenealy's Works"2015

    • 著者名/発表者名
      Ichikawa, Chieko
    • 学会等名
      The British Association for Victorian Studies
    • 発表場所
      Leeds Trinity University
    • 年月日
      2015-08-27 – 2015-08-29
    • 国際学会
  • [学会発表] 「ヴィクトリア朝の『牧師館の娘』を考える」2015

    • 著者名/発表者名
      市川千恵子
    • 学会等名
      イギリス女性史研究会
    • 発表場所
      甲南大学 ネットワークキャンパス東京
    • 年月日
      2015-06-13
  • [図書] 開文社2016

    • 著者名/発表者名
      多比羅眞理子編(分担執筆)
    • 総ページ数
      170 (4)
    • 出版者
      『エリザベス・ギャスケル中・短編小事典』
  • [図書] 『ヴィクトリア朝文化とセクシュアリティ』2016

    • 著者名/発表者名
      田中孝信、要田圭治、原田範行編(分担執筆)
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      彩流社
  • [図書] 『ブロンテ姉妹と15人の男たちの肖像――作家をめぐる人間ドラマ』2015

    • 著者名/発表者名
      岩上はる子、惣谷美智子編(分担執筆)
    • 総ページ数
      356 (24)
    • 出版者
      ミネルヴァ書房

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公開日: 2017-01-06  

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