研究実績の概要 |
本研究は、ポストコロニアル的観点から、1860年代から1920年代にいたる英版文学図像におけるオリエント表象を、政治社会文化美術的背景から、西洋と日本(東洋)の交差として、考察する学際研究であり、カルチュラルスタディである。本研究では、ケーススタディとして取り上げた文学作品図像に見るオリエント表象を、中東・中国・日本イメージの混在・分化・変容の過程から考察し、この時期、英国(欧州)が、なぜオリエントに魅惑され、何を受容表象しようとしたのか、その現実との乖離を、政治(植民地政策等)文化、美術、社会、ジェンダーなど多領域から検証し、西洋的価値体系におけるオリエント表象の位相を解明することを、目的とする。 本年度の実施研究としては、主に次の5点があげられる。1.海外調査:英国ケンブリッジ大学図書館、米国プリンストン大学図書館などにおける、19世紀から20世紀半ばまでの『アンデルセン童話』その他、クレイン、ニールセンなど、従来の研究で未調査のオリエント表象的傾向のある英版、および欧米版挿絵作品の特定、収集、調査、複写。ファンタジー、植物学、ジャポニズム、ポストコロニアルなどの関連文献収集。2.国内調査:日本近代文学館、国立国会図書館国際子ども図書舘、大阪府立国際児童文学館などでの資料収集・研究調査 3.イギリスの連携研究者であるイースト・アングリア大学クライブ・スコット教授との共同研究と討議。 4.平成25・26年度に収集した一部の資料のデジタル化 5.成果発表― "Gulliver in the Orient" Clare Hall Colloquium, Cambridge University (2015.3.24)など。
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