研究課題/領域番号 |
24520307
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
生駒 夏美 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (60365525)
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研究期間 (年度) |
2013-02-01 – 2018-03-31
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キーワード | 文学 / ジェンダー / パフォーマティビティ / 戯曲 |
研究実績の概要 |
平成26年度は主にカーターが日本滞在中に執筆した文章において、いかにジェンダーパフォーマティビティの考え方が発展してきたかを分析した。特に短編集Fireworksと長編小説The Infernal Desire Machines of Doctor Hoffmanに登場する「演技」に関係した箇所を抽出し、それが彼女の実体験で経験した日本のジェンダー規範と、それに強いられて「女性性」を演じた経験に密接に結びついている点を論じた。この論文は9月にオックスフォードで開催された学会Women Writing Across Culturesにて発表し、好評を得た。今年度にこの論文をさらに展開したものを雑誌に投稿する予定であり、それに向けて3月に草稿の翻訳補助を受けた。また戯曲集Curious Roomの分析検討にも入った。これについては日本語訳を作成し、出版させたい。カーターの作品とジェンダーパフォーマティビティについての単著についても、章立てにして、さらに不足している部分の洗い出しを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カーターの小説における「演技」のコンセプトとジェンダーパフォーマティビティの関連を、各作品ごとに分析する段階は順調に進んでいる。9月に行ったBritish Libraryでのアーカイブ研究では、カーターの日本滞在時のジャーナルを一部検討することができ、研究上の重要な示唆を得た。学会では研究内容に関する支援を得るとともに、新たな課題も見つかった。分析があまりされてきていない戯曲作品についての検討にも入っているので、進捗状況は概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、単著を完成すべく、カーターの各作品におけるジェンダーパフォーマティビティについての検討を続け、論文化を行う。特にカーター作品におけるジェンダーパフォーマティビティと、バトラーのそれの違いについて検討する。またカーターの作品に、ジェンダーアイデンティティに関するフェミニズムの文献批判が含まれている(特にハラウェイを念頭にしていると思われる)ことについても分析し論文にする予定である。それと同時に、戯曲の日本語訳の方も進め、こちらはできれば単著よりも先に刊行したい。今年度は昨年度に学会発表した論文を発展させたものを英雑誌に投稿するほか、カーターの日本滞在中の文献検討のために、8月末に大英図書館に研究旅行を行い、アーカイブのさらなる検討を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度イギリス海外出張のためにとりおいた。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり、2015年8月下旬のイギリス出張の旅費等に充当予定である。
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