研究実績の概要 |
本研究では、19世紀半ばのアメリカが直面した2つの事象、西部への領土拡大と奴隷制を巡る南北対立の最前線にあったKansas州を取り上げ、女性たちの日記・手記から動乱の時代を読み取ることをに目的とした。 "Bleeding Kansas"と呼ばれた動乱の時代のKansasに移り、その体験を描いたHannah RopesのSix Months in Kansasを読むことから始め、初代Kansas州知事となったCharles L. Robinsonの妻、SaraによるKansas: Its Interior and Exterior Lifeを読み、当時の緊迫した日常を知ると共に、反奴隷制の書としての社会への影響も考察した。また、Kansas Historical SocietyやUniversity of Kansasで行ったリサーチにより、時代背景や社会情勢がより鮮明になった。リサーチを通して、初期のフェミニストとも言うべきClarina Nicholsの存在を知り、現在、文献を読み進めている。 27年度はWestern Literature Associationに出席し、最近の研究動向を知り、さまざまな情報を得ることができた。また、研究途上で、同時代の中西部で多くの作品を書いたGene Stratton Porterへの興味が増し、Indiana州での調査も行った。これまでの研究をまとめ、「動乱の時代を生きたKansasの女性たち―Hannah Ropes, Sara Robinson, Clarina Nichols」のタイトルで津田塾大学言語文化研究所にて発表することが決定している(7月)。また、現在、同名のタイトルで論文を執筆中で、今年度中にいずれかの学会誌に投稿予定である。
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