研究実績の概要 |
最終年度となるH26年度は、前年度までに作成したデータベースを用いて作品データの分析作業を行った結果をもとに、H25年度に行ったSt. Maryを扱ったAelfricの散文作品および同テーマを扱った作者不詳の作品群との間の系譜研究を発展させ、現存する写本からディプロマティックテクストを作成した後、当時のSt. Maryをめぐるテクストの受容過程についての考察を行った。 具体的には、Nativity of St. Maryを扱った11世紀から12世紀にかけて製作された現存する3写本(MS Hatton 114, MS Bodley 343, Corpus Chrisity College MS 376)についてディプロマティックテクストを作成した後、それぞれの対応行を並べて配置した独自のディプロマティック・パラレルテクストを編纂した。同時に既存のテクスト(Assmann(1898), Butcher(1997), Clayton(1998))との比較検証作業を行い、主としてAssmann(1898)と Butcher(1997)についての修正提案を行った。 作成したディプロマティック・パラレルテクストおよび既存刊本との比較検証の成果は、論文「古英語期におけるNativity of Maryの受容について--A Three-Manusucript Diplomatic Parallel Text of the Old English Anonymous Nativity of Mary, Trial Version」として『昭和女子大学女性文化研究所紀要』第42号、1-34(2015)に掲載した。
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