1570年代からロンドンでは商業劇場が次々と建設され、ルネサンス演劇最盛期を迎えた。その当時、商業劇団は市井の劇場で公演するだけではなく、宮廷や貴族の館、あるいは市の祝祭で役を演じてもいた。本研究は、商業劇団が深く関わったpageantry(野外式典)を研究対象とする。これは royal pageantry(入市式や巡幸)とcivic pageantry(市長就任式等)に大きく分けられる。それぞれの記録を基にpageantry衣装演出の具体像を追って、その意匠が商業劇場舞台に与えた影響を明らかにし、エリザベス朝の商業劇場でどのような衣装演出が用いられたかを検証した。
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