1)過去3年に渡る本研究の概要を示すべく、2015年6月第49回アメリカ学会年次大会において、南山大学藤本博先生を司会にパネル「ベトナム戦争終結後 40 年――米越関係の現在」を立ち上げた。本研究者が「1.5 世代から 2 世代へ―ベトナム系アメリカ文化の現在」として研究成果を示す一方、大月短期大学の佐原彩子先生には移民学の視点からアメリカ西海岸のベトナム系コミュニティーについて、また学会外からベトナム政治経済学をご専門とする静岡県立大学の五島文雄先生から中国の台頭を視野に入れた今日の米越関係についてお話いただいた。本パネルの内容をまとめた論考をベースに、新進気鋭のヴェトナム系作家・アーティストの紹介をかねた研究書を、2017年度以降の出版を目指して計画中である。 2)デジタル・メディア・アーティスト、ディン・Q・レー氏に、同氏がホー・チ・ミン・シティーにて運営するアートスタジオ「サン・アート」(2007年創設)で面会し、2時間ほどのインタビューを行った。同時にサン・アートのスタッフとも情報交換を行った。主たるテーマはベトナムにおける芸術の在り方や規制の問題などである。また、サン・アートのディレクターを務めるゾーイ・バット氏とメール・インタビューを行った。レー氏の右腕として働くバット氏からは、サン・アートの歩みについて様々な情報提供を受けた。以上の調査・研究等を整理しまとめた論文を現在執筆中である。 3)昨年度本プロジェクトにより翻訳権を取得したベトナム系アメリカ人小説家 Lan Cao の最新作 The Lotus and the Storm の翻訳が終了した。現在、出版予定の出版社と今後の予定を調整中であり、間もなく校正作業に入る予定である。
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