研究課題/領域番号 |
24520323
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
河原崎 やす子 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (80341808)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アジア系アメリカ文学 / 日本植民地主義 / ポストコロニアリズム / 米国帝国主義 / ジェンダー / 暴力 / 人種差別 |
研究概要 |
本研究の目的は、アジア系アメリカ文学における日本植民地批判の言説を包括的に分析考察し、さらに米国帝国主義批判の表象と比較考察することである。その結果明らかにしたいのは、①アジア系作家がアメリカ経由で日本植民地主義批判をすることの意味、②日米両帝国主義の位置づけの相関と相違、③日本との戦争がもたらしたトラウマ体験とポストコロニアル状況の故国表象との関係性などである。 研究初年度は文献調査と現地調査を主に行い、以下の結果が得られた。 1.まず日本植民へ言及のあるアジア系アメリカ文学テクストおよび日本の植民および植民地主義に関する文献の収集と分析を行った。前者に関しては、言及しているだけでなく批判的視点を持つ作品を主に取り上げる。後者に関しては必然的に歴史文献が多いが米国との比較視点を持つ文献を中心に知見を得た。今後も文献調査は継続する。 2.米国ニューヨーク市とロサンゼルス市において現地調査を行い、研究者との交流、新たな情報、エスニックタウンにおける近年のトレンドの認知などの収穫を得た。ことにUCLAのアジア系アメリカ研究学部で最近台頭めざましいフィリピン系の研究者とのディスカッションからは、今後の研究に必要な多くの示唆を得た。 3.本研究の発端ともいえるグアム系チャモロ文学に関する研究を進めて論文を発表したが、執筆課程でさまざまな情報をグアム大学の研究者から受け取った。現地に赴く時間的余裕はなかったが、メールを介して日本植民主義の歴史的な問題点を当事者の立場から得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献調査等は順調に進行しているが、予定していたアジア系作家へのインタビューおよびアジアの現地調査が年度内に遂行できなかった。前者はAAASの学会へ参加して行う予定であったが、4月に休暇をとれず断念した。アジア訪問も時間的な制約によりできなかったが、これは今後の期間内に行うことで十分だと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き文献調査および現地調査を継続し、作家、批評家へのインタビューを行う予定である。文献調査は新たな英文文献を中心に行う。現地調査は順次アメリカ本土、ハワイを含めた太平洋の島およびアジア諸国で行う。またインタビューは正式に申し入れると制約が大きいため、学会参加の際にできるだけインフォーマルな形のインタビューを試みる。ある程度成果がまとまったところでアジア系アメリカ文学研究会などで学会発表を行い、その後論文として発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表である基盤研究C(21520288)(「回帰線」アメリカ文学におけるポストコロニアル故国表象)(繰越最終年度)および分担者である基盤研究C(23520335)(アジア系アメリカ文学における幽霊物語)の研究も平行して遂行した結果、本年度の研究費が次年度に回る結果となった。次年度は上記推進方策通りに研究を行い、何回かの海外旅費および物品費が発生する予定である。
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