研究概要 |
平成25年度は、前年度に収集した基本的資料・文献・刊行物をよりいっそう充実させるとともに、収集した資料の精読・分析・解析に取り組み、それらをデータベース化して検索可能なかたちに変えて、研究が容易になるようにした。また研究成果としては、以下のように講演を行い、論文三点と書評一点を公表した。 (1)名古屋大学英文学会第52回大会における講演で、18世紀から19世紀四半世紀までのOvidの “Sappho to Phaon”に基づくSapphoの投身神話の言説と絵画的表象の変容を自殺観・感受性観・セクシュアリティ観の観点から分析した。これにより、本研究の中心をなすLetitia Elizabeth LandonとFelicia Hemansの作品における女性の愛と死と詩的名声のテーマの歴史的位置づけが明らかになった。(2)名古屋大学英文学会誌に、上記分析結果の知見を発展させ、修正・加筆した論文を投稿し、査読を経て掲載された。(3)イギリス女性史研究会Newsletterに掲載した論文では、ロマン主義時代の女性同士の愛について語るとき、セクシュアルが意味することについての問題を提起した。(4) 紀要に掲載した論文では、19世紀はじめのAnne Listerの日記を読み解き、彼女が学んだOvid, Martial, Juvenalなどの西洋古典文学におけるセクシュアリティの言説が、女性同性愛者の自己像の形成に対抗的に働いたことを明らかにした。(5)日本英文学会誌英文号に、ロマン主義時代のジェンダー・セクシュアリティ観を知る規範的な作家の一人であるMary Wollstonecraftに関する19世紀から現代までの批評論文集の書評を投稿し、査読を経て掲載された。 これらの成果により、本研究の最終の26年度における研究の総仕上げの礎を築くことができた。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度使用計画として挙げていた英文論文校閲費を使用しなかったことに加え、国内旅費が計画より少ない費用ですんだため。 次年度に使用する予定の研究費としては、前年度残金の45,520円と直接経費900,000円の合計945,520円である。平成26年度は研究費全体のうち、物品費(書籍、インクなど消耗品)に115, 520円、旅費(イギリス・グラスミアでの学会のための渡航費・宿泊費として)に550,000円、人件費・謝金(HP更新費と英文論文校閲費として)に80,000円、その他(学会参加費、論文印刷費、複写費、相互貸借文献複写費および送料として)に200,000を使用する計画である。
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