本研究は、21世紀のアメリカ文学が「アメリカとは何か」という伝統的な問いから離れ、脱アメリカ化しつつあるという新たな方向性を論じることを目的とした。具体的には、(1)1980年代から1990年代にかけてのアメリカ小説においては、「外部」を自由の場とみなす表現が支配的であったこと、(2)2000年代に登場したアメリカ作家たちの特徴が「寓話性」であり、無国籍な作風を中心としていること、(3)非英語圏出身の作家たちがアメリカ文学に参入することで、「アメリカ」という枠組みそのものが無効化されつつあること、の三点を中心に書籍・論文を発表し、翻訳も合わせて行った。
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