本研究は、これまで文学・文化研究領域でほぼ注目されずにきた初期アメリカにおける組織的反乱事件――具体的には、独立革命直後に勃発したシェイズの叛乱(1789-87)および植民地時代のニューヨーク奴隷陰謀事件(1741)――の概要を提示し、かつその歴史的重要性と文学的・文化的影響を探るものである。社会的不和・混乱を背景としたこれらの事件は、同時代の文学における体制転覆的想像力を喚起しただけでなく、共和政期、アンテべラム/ポストべラム期を経て、こんにちのアメリカ大衆文学においても、抵抗精神の発露による文学的生成に影響をもたらしていることを、多くの具体的文学作品の分析によって示した。
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