本研究は、D・H・ロレンスを中心とするいわゆるモダニズムのキャノンとされるテクストと、当時広く読まれながら現在は忘れられたポピュラー・フィクションのテクストとを併置し、両者の相関関係を、19世紀末から戦間期にかけて広く流布したイデオロギーの観点から分析するものである。 本研究は、1) モダニズムの作家たちによるテクストを、第一次大戦期のイデオロギーから分析する研究と、2) キャノンでないとして光の当てられることの少なかったポピュラー・フィクションを、帝国のイデオロギー、ナショナリズム、第一次大戦期のイデオロギーといった観点から読み直す研究の両者を接続しようと試みるものである。
|