本研究は平成20~21年度、平成22~23年度にかけて科学研究費補助金の若手研究(B)にて行われた研究課題「ロバート・ヘリックの理想郷と動乱のイギリス社会」及び「ロバート・ヘリックの田園世界―『ヘスペリディーズ』の抒情性と社会性―」を基底とするものである。研究を進める中、当時の言論統制・検閲といった時代背景と「詩」というジャンルの表現上の特殊性から「抒情性」と「社会性」という一見相反する二つの概念がヘリック詩の中で密接に融合していることが解ってきた。こうした知見をもとに、王党派詩人ヘリックが描いた理想郷『ヘスペリディーズ』中でのピューリタン批判、抒情詩集が持つ社会性や政治的機能を明らかにした。
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