研究実績の概要 |
前年度の研究に基づき、本年度は以下の研究を行い、まとめの作業を行った。 中世フランス語によるブルゴーニュ版ボエティウス 『哲学の慰め』(Del Confortement de Philosofie) のテキスト確定を、オーストリア国立図書館に所蔵されている写本(第2642番写本)と、M. Bolton-Hall による校訂版 ("Del Confortement de Philosophie", dans Carmina Philosophiaem 5-6, 1996-1997) とを照合する作業を基に完成させた。それと同時に各種辞書における『哲学の慰め』の引用再検討の作業を完成させ、それらの解釈の妥当性を文献学的に調査し、従来の知見がいかに補足できるかをまとめ、ブルゴーニュ版『哲学の慰め』に含まれる歴史的・地理的に興味深い単語・表現の収集を完成させ、各種辞書・言語地図などを批判的に活用しつつ、それらの語彙の意義を明確にした。その成果は "Remarques lexicographiques sur une traduction de la Consolation de Philosophie de Boece : version bourguignonne de la 1re moitie du 13e siecle" (Dialectologie et etymologie galloromanes, Strasbourg, 2014) と題する論文で発表した。ジャン・ド・マンによる『哲学の慰め』とブルゴーニュ版『哲学の慰め』との比較検討の作業も完成させ、単語と表現のレベルでの異同の研究を通して従来のフランス語史の知見を補足する作業をまとめ、文献学にとって必須の作業である、フランス語の諸作品の校訂版の収集ならびに批判的検討を続け、その問題点ならびに意義を明らかにした。
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