研究課題/領域番号 |
24520340
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
鈴木 正美 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10326621)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 外国文学 / 芸術諸学 / 比較文学 / 芸術史 / 非公式芸術 / ロシア / 前衛音楽 / 現代詩 |
研究概要 |
1.研究会の開催 平成24年度に研究会を4回開催した(2012年6月24日、7月13日、10月19日、2013年3月16日)。報告者と報告タイトルは次の通りである。吉原深和子(信州大学)「ロシアのドール・アートについて。最近の動向から」、アレクサンドル・ベリャーエフ(ロシア国立人文大学)「ロシア文化におけるロックの衝撃」、大井弘子(ビバボ人形劇)「ロシアの人形劇文化──国立モスクワ中央人形劇場を中心に」、岡島豊樹(スラブ音楽研究家)「1960-70年代の東欧におけるジャズ文化」、鈴木正美「1960-70年代のソ連におけるジャズ文化」。また、2013年3月24日、モスクワにおいて研究協力者のスホーチンと共に研究内容について会議を行った。 2.海外における現地調査 鈴木正美は2013年3月22日―3月28日にモスクワに滞在し、資料(書籍、音源、映像)を調査・収集した。さらに、この間にモスクワのヴィンザヴォート・センター、リュミエール兄弟写真センター、文化センター「ドム」等の他、複数の美術館、ギャラリーで非公式芸術に関する展覧会を実見し、資料収集を行った。また3月25日、ロシア国立人文大学で開催された「フセヴォロド・ネクラーソフ会議」に出席し、研究報告を行った。ネクラーソフ研究者20数名と情報交換を行い、あわせて貴重な資料の提供を受けた。ロシアの現代詩や非公式芸術の研究者と知己を得ることができ、また日本では入手困難な貴重な資料を多数入手できたことは、今後の研究にとってたいへん有益である。 3.研究成果の公開 鈴木正美は当該テーマに関わる1本の論文を発表した。また、上記「フセヴォロド・ネクラーソフ会議」でロシア語による研究報告を行ったが、これはネクラーソフ学会のWEBサイトに公開される予定である。その他の研究成果は研究代表者のホームページにおいて順次公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ソ連邦崩壊前後のロシアにおけるアンダーグラウンド芸術がどのように変化、変質、進化したかを明らかにすることにある。ペレストロイカが始まった1985年からソ連邦崩壊(1991)後までの約10年間のロシア文化に関してはすでにさまざまな研究が行われているが、アンダーグラウンド芸術については、その全体像がいまだに明らかにされていない。そこで、この文化に関わった芸術家、音楽家などに現地で聞き取り調査を行っているが、今回は研究協力者のスホーチンの協力もあり、「フセヴォロド・ネクラーソフ会議」(2013年3月25日)に参加、報告したことで、ロシアのコンクリート・ポエトリーに関わった人々やその研究者たちと情報交換することができた。さらに将来的にも研究交流を重ねることになったのは最も大きな収穫であった。 研究協力者のドミートリエヴァ、ジャズ評論家のモシュコウ、写真家のザブリンからはアンダーグラウンド芸術に関する貴重な資料の提供を受けた。またロシア国立人文大学のベリャーエフは日本文化の研究者でありながら、ロシア・ロックに造詣が深く、来日した折に新潟で研究報告(2012年7月13日)をして頂いたことがきっかけで、今回のモスクワでの調査の際にもロック関係の資料の調査に協力して頂いた。 当該研究に関わる資料(書籍、論文、音源、画像、映像)は順調に収集しており、研究に協力してくれるロシア人が増えたことで、さらに今後の収集が容易になることが期待できる。 現在ウラジーミル・タラーソフの自伝『トリオ』を翻訳中であるが、これは平成25年度中に出版の予定である。これにより現代ロシアの非公式芸術、前衛音楽、アンダーグラウンド文化の一端が明らかになることは間違いない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の核となる(1)非公式芸術と公式芸術の分離と融合(担当:鈴木正美、ミハイル・スホーチン、リュドミーラ・ドミートリエヴァ)、(2)ジャズ・ロック・カルチャーの進化と変容(担当:岡島豊樹、セルゲイ・レートフ、アンタナス・ギュスティス)、(3)人形劇の変化と人形美術の誕生(担当:大井弘子、吉原深和子、ナターリヤ・コストローヴァ)、という3つのテーマごとに研究グループをつくり、それぞれの領域で研究を行う。 また、新たに研究協力者としてアレクサンドル・ベリャーエフ(ロシア国立人文大学)が本プロジェクトに参加する。 5-7月にはコストローヴァの協力のもと大井弘子がモスクワで現地調査を行う。また、9月には鈴木正美がモスクワとヴィリニュスでスホーチン、レートフ、ギュスティスの協力のもとに、存命する非公式芸術家たちへの聞き取り調査、資料収集を行う。年度内に本研究プロジェクト参加者による研究報告会を3回開催し、各人の相互理解を深める。さらに現地調査での具体的な調査内容を再検討する。海外研究協力者とは電子メールによって討議を重ね、現地調査に関しても意見交換をし、調査におけるさまざまなコーディネートを依頼する。ここで、お互いの問題点や課題を確認し、今後の研究の進め方について具体的な計画を立てる。その結果を見て、各グループは必要に応じて個別の研究会を開き、研究をさらに進めていく。以上の研究をもとに、平成26年2-3月には本研究プロジェクト参加者による研究会を開催し、本年度の研究成果を確認し、問題点や課題を洗い出す。これをもとに平成26年度以降の計画の調整、具体化などについて討議を重ねる。研究成果は研究代表者のホームページにて公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は本研究の最終年度であり、ロシアから研究協力者を招へいしての国際シンポジウムを計画している。次年度使用額については、この招へいに際して必要な旅費、あるいはシンポジウム開催に要する費用等にあてる予定である。
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