1.最終年度に実施した研究の成果:平成26年度は研究会を3回開催した(2014年5月18日、9月21日、2015年2月1日ー2日)。報告者と報告タイトルは次の通りである。鈴木正美「モスクワ最新動向2014」「アルハンゲリスク・ジャズ・デイズ1992年度回顧」、ロマン・ストリャール「ノヴォシビリスクにおける音楽のアンダーグラウンド」、木村英明「『文学史』を問い直すー体制転換期のスロヴァキア文学」、梅津紀雄「音楽の冷戦と非公式芸術音楽の隆盛」、岡島豊樹「フォーク・ジャズの諸相-ソ連末期から今日まで」。また鈴木正美は、2015年3月17日ー26日、モスクワやサンクト・ペテルブルク等ロシア5都市において現地踏査を行い、多くの資料を収集した。さらにリュドミーラ・ドミートリエヴァ等の研究協力者と研究打ち合わせを行い、情報交換をした。 2.研究期間を通じて実施した研究の成果:本研究の核となる1)非公式芸術と公式芸術の分離と融合、2)ジャズ・ロック・カルチャーの進化と変容、3)人形劇の変化と人形美術の誕生、という3つのテーマごとに研究グループをつくり、それぞれの領域で研究を行った。研究期間内に現地調査・資料収集を行い、ロシアのアンダーグラウンド芸術に関わった人々に聞き取り調査を実施した。研究期間内に各研究メンバーが結集する研究会を計10回開催した。最終年度には研究協力者のロマン・ストリャールを日本に招聘し、ソ連邦崩壊前後のアンダーグラウンド芸術に関する国際シンポジウムを開催した。研究成果は研究報告書としてまとめた。これらの結果により、ソ連邦崩壊前後のロシア文化の独自性に関して新たな知見を得ることができた。また、現地調査で出会ったさまざまな人物との新たなネットワークが構築され、今後の研究への展望がさらに拡がった。
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