研究課題/領域番号 |
24520343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
中島 淑恵 富山大学, 人文学部, 教授 (20293277)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フランス / ラフカディオ・ハーン / ベル・エポック / ジャポニスム |
研究概要 |
平成24年度は、ラフカディオ・ハーンの日本に関する著作が、同時代(20世紀初頭)のパリでどのように受け入れられていたかについて、実際の文学作品に当たりながら検証を行った。まず、平成24年8月5日から9月4日まで、フランス国立図書館において、ラフカディオ・ハーンの日本に関する著作が20世紀初頭のフランスにおいてどのように紹介されていたかを検証するために、フランスで当該の時期に出版された実際の作品、新聞・雑誌等の批評等を渉猟し、可能な限り情報を収集、コンピュータへの入力作業を行った。また、同時代のラフカディオ・ハーンおよびいわゆるジャポニスム関連の図書を可能な限り購入し、その内容とラフカディオ・ハーンの著作の影響がそこに認められるか否かについて検討を行った。また、平成25年3月8日から3月21日まで、同じくフランス国立図書館において、フランスで当該の時期に出版された実際の作品、新聞・雑誌等の批評等を渉猟し、可能な限り情報入力を行った。さらに、このようにして収集した情報をデータベース化すると同時に、論考と分析を行い、「ルネ・ヴィヴィアンと日本の三人の女流詩人―ポール・リヴェルスダールの著作における小野小町・清少納言・加賀千代女の記述をめぐって―」(富山大学人文学部紀要、第57号)と「エレーヌ・ド・ジュイレン・ド・ニーヴェルト『最期の抱擁』における日本―20世紀初頭のフランス文学におけるジャポニスムの変容 ①―」(富山大学人文学部紀要、第58号)を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2回の現地調査によって、20世紀初頭のフランスにおいて、ラフカディオ・ハーンがどのように受容されていたのか、実際に検証を行うことができた。とくに、ラフカディオ・ハーンの生前から著作の書かれたままの英語でハーンを読み、翻訳を行ったり、自身の作品に反映させていた人々がかなりいたことが検証されると同時に、とくに1910年代以降、ハーンのフランス語訳が発表されるようになると、読者層が拡大し、その影響の及ぶ範囲もさらに広くなって行った様子を確認することができた。また、ハーンに影響を受けて日本の文化や日本の生活様式のありよう、とりわけ仏教思想について深い理解に至っているケースも発見され、今年度は予想以上の成果を得て、二本の論文として発表することができた。関連図書の購入および、それらの分析によるハーンの影響関係の検証も順調に進み、データベースかも進行しているので、当初の計画以上に進展しているものと自己点検評価している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はまず、7月17日から24日までにパリ(ソルボンヌ大学)で開催される国際比較分学会において、これまでの成果をまとめて「la reception de Lafcadio Hearn chez les contemporains parisiens, Essai sur le "Japonisme" litteraire a la belle epoque(パリの同時代人におけるラフカディオ・ハーンの受容、ベル・エポックの文学的ジャポニスムについての考察)」のタイトルで学会発表を行う予定である。また、8月5日から26日については、前年度同様フランス国立図書館で同時代のフランスにおけるハーンの著作の影響について調査研究を行う予定である。また、関連図書購入もさらに推進し、データベース化とその内容の分析、論考を行って、適宜論文としてまとめて適宜発表し、平成26年度の成果の集大成を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年7月17日から24日まで、パリ(ソルボンヌ大学)で学会発表を行うための海外旅費として約30万円を利用、同じく8月5日から26日までフランス国立図書館で調査研究を行うための海外旅費として約55万円を利用する予定である。また、関連図書購入に約20万円、これらの調査研究によって得られたデータを集積してデータベース化し、分析を行い、論文執筆を行うために約15万円をパーソナルコンピュータ購入に充当する予定である。
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