研究実績の概要 |
26年度中は、以下の2編の論文を発表した。 1. 「リズムと夢想 ―ルソーにおける音楽論と文学的創造―」、永見文雄、三浦信孝、川出良枝編『ルソーと近代 ルソーの回帰・ルソーへの回帰』風行社、2014、pp. 54-67. 2. "Nature humaine et autorite du discours dans la "Profession de foi du vicaire savoyard" dans Blaise Bachofen, Bruno Bernardi, Andre Charrak et Florent Guenard (dir.), Philosophie de Rousseau, Classiques Garnier, 2014, pp. 471-484. 1は2010年に刊行された論文「ルソーにおけるリズム論と夢想の詩学」(田口紀子・吉川一義編『文学作品が生まれるとき 生成のフランス文学』、京都大学学術出版会、2010、p. 235-263)と内容的に重なるが、ルソーのリズム論に関する研究は世界的にもまれであり、しかもそれをルソーの音楽論や人間論との関係を論じた点で貴重な寄与である。 2は『エミール』第4編の中核をなす「サヴォワ人助任司祭の信仰告白」を論じたものである。この「信仰告白」はルソーの宗教思想を体系化した文章としてよく知られているが、ルソーの言語論と結びつけて論じられることはあまりない。拙論はこの「信仰告白」がルソーにおける言説の権威という問題について重要な示唆を与えてくれものであることを浮き彫りにした。
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