研究課題/領域番号 |
24520351
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉川 一義 京都大学, 文学研究科, 教授 (30119870)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / フランス |
研究概要 |
プルーストと接点を有する同時代の政治、社会、文化がどのような状況にあったかを解明するため、『プルースト書簡集総合索引』をはじめプルーストの各種刊本の索引を活用しつつ、当時の新聞や雑誌にあらわれた政治や社会の事件、文学・絵画・音楽・建築・演劇・バレエ・装飾芸術、写真などの文化事象に関する書物や論文などをリストアップした。そのうえで作家のこれら受容の実態を明らかにできる専門書、雑誌論文、当時のカタログやプログラムなどを収集して分析した。 『失われた時を求めて』と関連作品、『プルースト書簡集』、プルーストの伝記や個別研究などの文献をあらためて読み直し、政治、外交、文化などの分野で、作家が実際に受容し、作中に取り入れた事件や作品について、作家がどのような評価をしていたかを調査した。 以上の調査で抽出した事象がどのように作品にとり込まれたかを明らかにし、作家の創作過程を具体的証拠にもとづいて解明するため、フランス国立図書館が所蔵する創作メモ帳、草稿ノート、タイプ原稿、校正刷などの関連箇所を解読・調査した。 調査が進み、研究の進展が顕著な分野について、研究成果の一部を京都大学仏文学会(2012年5月)、スリジー・ラ・サルでのプルースト・シンポジウム(同年6月)などで発表するとともに、調査の成果を翻訳『失われた時を求めて』(岩波文庫)の第4巻(同年6月)と第5巻(2013年5月刊行予定)の注に採り入れて日本の読者に公開した。 またフランスのプルースト研究者を招聘して講演会を開催し(2012年10月)、また研究課題について討議して有益な教示を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プルーストと接点を有する同時代の政治、社会、文化がどのような状況にあったかを解明するための調査がかなり進展し、具体的な成果を得ることができた。 予定していた研究者との交流も実現し、研究の進展が顕著な分野については、その研究成果の一部を口頭発表や翻訳の注などで公開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の調査研究の成果を踏まえたうえで、ひきつづき『失われた時を求めて』と関連作品、『プルースト書簡集』、フランス国立図書館所蔵の未発表資料などを読み直し、そこにあらわれた政治や社会や文化に関する情報抽出作業をつづける。 その際、あらたに必要となった専門文献を補充し、必要な情報をとり出す。また、当時の新聞や雑誌、コンサート、演劇などの文化的興業のカタログやプログラム、さらに作家が参照した可能性のある当時の専門書や論文なども補い、前年と同じ方法で調査を進める。 蓄積された調査結果を見直し、調査の進んだいくつかの分野について研究成果をとりまとめ、それをプルーストに関する研究会やシンポジウム、専門誌などで発表し、専門家の批判をあおぐ。また、『失われた時を求めて』に詳しいフランスの作家を招聘し、講演会と共同討議を企画する。さらに研究成果を刊行中の『失われた時を求めて』全訳に採り入れ、日本の読者に公開する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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