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2013 年度 実施状況報告書

『失われた時を求めて』の歴史的背景に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520351
研究機関京都大学

研究代表者

吉川 一義  京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (30119870)

キーワードフランス / プルースト / 失われた時を求めて / 歴史的背景 / 翻訳の注解
研究概要

本研究は、フランスの作家プルーストの長篇小説『失われた時を求めて』が、どのような政治、社会、文化、言語の背景をもとに成立しているか、そららの事象がどのように本作に取り込まれ、それが作中でどのような機能を果たしているかを解明するため、対象を『失われた時を求めて』にあらわれる政治、社会、文化などへの言及に絞り、その受容と創作への転化を当時の一次資料、作家のメモ帳、草稿帳、校正刷、書簡集など調査にもとづき網羅的に調査し、プルースト小説の独自性と普遍性の秘密を解明することを目的とする。
本年度は、ドレフュス事件をはじめ、さまざまな社会事象、文化的イベント、絵画や音楽などの作品、現実の人物や芸術に想をえた架空の人物や作品などについて。これら現実とフィクションがどのように交錯して複雑な小説空間を形づくっているか、それらの事象が作中でどのような機能を果たしているかを考察した。そうして蓄積された調査結果を見直し、調査の進んだいくつかの分野について研究成果をとりまとめ、それをプルーストにシンポジウムや講演会、専門誌のプルースト特集どで発表し(業績一覧参照)、専門家の批判をあおいだ。また、調査結果を刊行中の『失われた時を求めて』全訳第5巻と第6巻に採り入れ、日本の読者に公開した。
プルーストの政治や文化の受容の背景を明らかにすることにより、従来「創作の秘密」とされてきた作家の現実受容と創造との関係をより実証的に解明する可能性が拓けた。また、これらの研究成果を『失われた時を求めて』全訳の訳文や注解に採り入れることにより、専門研究と一般読者をへだてる壁をとり払い、フランス文学研究の専門的成果を広く日本の読書人に公開することもできた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に記載した「研究の目的」は、個別の課題について論文、口頭発表、翻訳の注解やあとがきなどにおいて、おおむね実現することができた。

今後の研究の推進方策

変更の必要を認めないので、今後も従来どおりの方法により研究を推進する。調査の成果の総合的なまとめにも留意しつつ進める。

次年度の研究費の使用計画

予定していた出張が中止になり、支出が計画より少なくなった。
次年度の研究遂行のために使用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Swann, le heros, et leurs doubles2013

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 雑誌名

      Swann le centenaire

      巻: 1 ページ: 387-403

  • [雑誌論文] 『失われた時を求めて』における考古学上の発見──ギリシャの彫刻とエジプトのミイラ2013

    • 著者名/発表者名
      吉川一義
    • 雑誌名

      思想

      巻: 1075 ページ: 155-170

  • [学会発表] Proust et les decouvertes archeologiques

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 学会等名
      Proust et les Arts
    • 発表場所
      Harvard University
    • 招待講演
  • [学会発表] Comment traduire le roman de Proust en japonais

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 学会等名
      Conference
    • 発表場所
      Harvard University
    • 招待講演
  • [学会発表] Proust et ses “villes d'art celebres”

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 学会等名
      Du cote de chez Swann ou le cosmopolitisme d'un roman francais
    • 発表場所
      Ecole normale superieure (Paris)
    • 招待講演
  • [学会発表] La lanterne magique de Genevieve de Brabant

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 学会等名
      5e Balbec normand de Marcel Proust
    • 発表場所
      Casino de Cabourg
    • 招待講演
  • [学会発表] Une nouvelle traduction complete d'A la recherche du temps perdu : comprehension, expression, illustrations

    • 著者名/発表者名
      Kazuyoshi Yoshikawa
    • 学会等名
      Comment traduire Proust ?
    • 発表場所
      CNRS (Paris)
  • [図書] Swann le centenaire2013

    • 著者名/発表者名
      Antoine Compagnon, Kazuyoshi Yoshikawa
    • 総ページ数
      423 p
    • 出版者
      Hermann
  • [図書] 失われた時を求めて 5 ゲルマントのほう I2013

    • 著者名/発表者名
      プルースト作、吉川一義訳
    • 総ページ数
      442 p
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 失われた時を求めて 6 ゲルマントのほう II2013

    • 著者名/発表者名
      プルースト作、吉川一義訳
    • 総ページ数
      422 p
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2015-05-28  

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