本研究は日本とドイツの文学の、戦争をめぐる議論・対話に着目して、新しいグローバル社会に即した両国の文学の役割を考察することを目的としていた。戦後70年を迎えた現在、こうした研究は、意味のあるものであると考えた。 本研究では、ギュンター・グラスや大岡昇平ら日本とドイツの作家の間で展開された「対話」をはじめ、第二次世界大戦から現在、およびその前にまで視野を広げ、日独の戦争にまつわる「対話」を、文学の側面から調査・考察していった。こうした考察の成果は、大学紀要論文や文芸雑誌に発表するほか、報告書としてこの期間に発表した論文や本の一節をまとめることで、社会的にも周知するよう努めた。
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