研究課題/領域番号 |
24520362
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福元 圭太 九州大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (30218953)
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キーワード | グスタフ・テオドール・フェヒナー / モデルネ / ネオ神秘主義 |
研究概要 |
平成25年度の研究計画は、フェヒナーとフロイトの関係を、収集した資料に基づき分析することにあったが、フェヒナー晩年の著作『光明観と暗黒観の相克』の分析に予想を超える時間を要し、計画の遂行は少し遅れている。なおこの成果は「フェヒナーにおける光明観と暗黒観の相克―グスタフ・テオドール・フェヒナーとその系譜 (5)」『かいろす』51号、18-39頁、2013年「かいろす同人」刊、にまとめた。本稿はフェヒナー晩年の著作『光明観と暗黒観の相克』(Die Tagesansicht gegenueber der Nachtansicht.1879)を解読し、祖述することで、フェヒナーの思想全体を俯瞰する点にあった。この著作はそれまで「多くの著作でばらばらに発表してきた哲学的-宗教的な見解を、一個の独立した著作としてまとめたい」というフェヒナー自身の動機に貫かれたものであるがゆえ、フェヒナー思想の全体図を透視することが可能なのである。 また2014年2月22日に立教大学で開催された「現代ドイツ民族主義宗教研究会」では、「モデルネにおける『人間の刷新』」という講演(招待)を行い、20世紀初頭のネオ神秘主義に見られる自然との合一願望の淵源の一つがフェヒナーにあることを指摘し、宗教学や現代史の研究者と意見を交換した。 さらに、春秋社から出版されたフェヒナーに関する浩瀚な評伝についての書評を「図書新聞」からの依頼に応えて執筆した。この原稿は3月末に提出したばかりで、現在校正中である。 なお上記評伝においてはフェヒナーとフロイトの関係に関する、これまでの研究成果が挙げられており、今後の研究では、それに基づきながらも、この両者の関係に新しい光を当てることが求められることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フェヒナー晩年の著作の分析に、予想を超える長い時間を要したため。また、副部局長に選出されたことによる学内管理運営業務の多忙化、ならびに学会支部長に選出されたことによる学外の学会運営業務の多忙化も、研究の遅れの一因である。
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今後の研究の推進方策 |
手持ちの資料分析を急ぎ、フロイト、ベルクソンとフェヒナーの関係を洗い出す。その際、フロイトに関しては、先行研究の枠を超える機軸を発見できるかどうかが鍵となる。ベルクソンについては、その思想に詳しい(理系の)研究者が近くにいるので、議論をしながら刺激を受けることができると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究旅費に関しては、先方(立教大学)から支給されたため、使用する必要が生じなかった。また、手持ちの資料の分析、およびコピーなどでの資料収集が多かったため、新規に書籍を購入する必要が、見込額よりも小額で済んだ。 翌年度分と合わせた研究費は、フロイト、ベルクソンならびに「生の哲学」関係の書籍購入を中心に、有効に使用したい。特に「生の哲学」関係書籍は未購入のものが多く、内訳として物品費の使用率が高くなると予想できる。
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