本研究は,フランスの作家スタンダールの死後,その従弟で遺言執行人のロマン・コロンが出版したエッツェル版『パルムの僧院』,ミシェル・レヴィ版『アルマンス』と『カストロの尼』のテクストとそれぞれの初版の本文とを照合してヴァリアントの有無を精査し,『パルムの僧院』についてはエッツェル版に含まれる異文が,1842年2月26日に作家が行った修正を採録したものであることを,書簡,備忘,同小説の作家の手沢本などの網羅的調査をつうじて解明し,その成果を日本スタンダール研究会,フランスの国際スタンダール研究誌等で発表した。
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