研究課題/領域番号 |
24520368
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
新本 史斉 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (80262088)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スイス文学 / ドイツ語文学 / 翻訳論 / 多声性 / ドイツ語文学 / 連詩 / 推理小説 |
研究実績の概要 |
本年度には、昨年度11月に仏のナンシー大学で行われた国際シンポジウムでの発表に基づき、研究論文 "Kriminalroman als Alibi oder Friedrich Glausers parodierendes Romanprojekt der Moderne"を、論文集Hohe und niedere Literatur. Tendenzen zur Ausgrenzung, Vereinnahmung und Mischung im deutschsprachigen Raum. (ed.)A. Bourguignon(Berlin 2015) に執筆・刊行した。 9月6-10日には津田塾大学での谷川俊太郎とユルク・ハルターによる連詩プロジェクトにて、日独二言語間の詩による対話を翻訳者として仲介した。10月24日にはスイスのウスター市グルンホルツァー館で「ヴァルザーをどう翻訳するか?」、26日にはリヒテンシュタインのタック劇場で「東京での散歩、パリでの散文小品」と題し、日仏ヴァルザー翻訳者によるシンポジウムを行った。 3月27日-28日には山口大学での国際シンポジウムに参加し、"Mehrsprachigkeit, Akzent und Luege,Polyphone, koerperliche Wahrheiten in F. Glausers Legionsroman Gourrama." ( 「フリードリヒ・グラウザーの外人部隊小説『グーラマ』におけるポリフォニー的真実」)と題する発表を行った。一般向けに研究成果を還元する作業としては『スイスを知るための60章』(明石書店2014年)を分担執筆した。いずれもF.グラウザー、R.ヴァルザー、J.ハルターという、方言性と多言語性を意識しつつ執筆活動を行う現代スイス作家をめぐる論考である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
20世紀ドイツ語圏スイス文学の多声性をめぐる研究全体の中で、現時点においては上記3名の作家についての研究に集中して結果を出している。他の作家について論じることができないでいる最大の理由はー申請時には想定していなかった事であるがー2012年の11月より、津田塾大学において、学長補佐として、教学改革、組織再編、新組織新設に関わる改革を進めなければならなくなり、研究に配分する予定であったエフォートを減らさざるを得なくなったことである。
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今後の研究の推進方策 |
計画を一年延長し、本研究を続行する2015年度には『ローベルト・ヴァルザー作品集』の翻訳を完結させると同時に、今年度に続いてフリードリヒ・グラウザーについての学術論文をドイツの論集に執筆することで、20世紀前半のドイツ語圏スイス文学においてもっとも重要なこの2名の作家についての、日本における研究の基礎を確立するとともに、ドイツ語圏に向けての発信もさらに充実したものとしていく。これに加えて、スイス現代文学の多声性研究においてもう一つの核となるべき作家イルマ・ラクーザについても、研究論文を執筆する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度10月に予定していたスイスでのシンポジウム発表が開催者による招待講演となり、往復の航空運賃がが支給されることとなり、本基金から支出する必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に本研究を続行し、関連書籍の購入、プリンターの印刷代等にあてる。
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