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2015 年度 実績報告書

リルケとゲーテの連関に関する実証的・歴史的・哲学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520369
研究機関日本女子大学

研究代表者

黒子 康弘  日本女子大学, 文学部, 准教授 (50305398)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードリルケ / ゲーテ / ベッティーネ / ドイツの詩人 / ドイツ的神の探求
研究実績の概要

本研究の目的は、リルケとゲーテの連関を、哲学的、歴史的、実証的に追究することであるが、前年度までに、手紙の複写や日本に所蔵のない研究文献を収集・分析するのと平行して、主に2つの論点について考察を深めてきた。
第1の論点は、ゲーテとリルケの内的な連関を指し示すものの中で最も緊張と矛盾を孕む、いわゆる「ベッティーネ体験」である。「ベッティーネ体験」は、リルケが幼少期から長らく教養として親しんできたゲーテから突然背を向けた、1901年から1910年の時期における象徴的出来事である。そこに、詩神ムーサを巡るゲーテとの一種のエディプスコンプレックスと、そこからの脱出の軌跡を読み込めることを明らかにした。
第2の論点は、第二次世界大戦前夜及び戦中ドイツの「ドイツの詩人としてのリルケ」という言説形成の分析である。この分析はとりもなおさず、本研究の主題である「ゲーテとリルケの連関」の歴史的評価に関わっている。というのも、ナショナリスティックな文芸思潮に支配され「リルケのドイツ性」が殊更に喧伝された戦前戦中に、リルケのゲーテとの連関について集中的に議論されたからである。しかも、それと鋭い対照をなすかのように、戦後この論点はほぼ完全に無視された。ゆえに、この第2の論点は、より深いリルケ受容史・研究史批判へと自ずと向かわざるを得ないことが、前年度までの研究で明らかになっていた。
今年度は、ドイツ国内での資料収集の傍ら、リルケ受容史・研究史批判を一層徹底させるべく、収集された各時代の雑誌論文、研究書、各種文献の読解を行った。その結果、戦前戦中における「ドイツの詩人としてのリルケ」という言説形成に強く関係し、「リルケとゲーテの連関」同様に戦後意識的に排除されたもう一つの中心的論点を発掘するに至った。つまり「ドイツ的神の探求」という論点である。本年度はこれに関して2つの論文に纏めることができた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 『時祷書』・心的外傷・文献学 -リルケ研究史批判-2016

    • 著者名/発表者名
      黒子康弘
    • 雑誌名

      オーストリア文学

      巻: 32 ページ: 25-35

    • 査読あり
  • [雑誌論文] リルケ・ドイツ・オーストリア ‐故郷喪失と言語への意志‐2016

    • 著者名/発表者名
      黒子康弘
    • 雑誌名

      日本女子大学 紀要(文学部)

      巻: 65 ページ: 101-116

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公開日: 2017-01-06  

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