• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

ブコヴィーナのドイツ・ユダヤ文学と初期パウル・ツェランの綜合研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520370
研究機関明治大学

研究代表者

関口 裕昭  明治大学, 情報コミュニケーション学部, 教授 (50295581)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードブコヴィーナ / パウル・ツェラン / ユダヤ性 / アウシュヴィッツ / 集合的記憶 / アンゼルム・キーファー / Bild
研究実績の概要

本研究の集大成である著作『翼ある夜 ツェランとキーファー』(みすず書房)が7月に刊行される。本書はパウル・ツェランとドイツ人の画家アンゼルム・キーファーを中心に置き、言葉(詩)とイメージ(絵画)の2つのジャンルを自在に往復しながら、ユダヤとドイツの歴史、精神を徹底的に検証する。扱う詩人・芸術家はこの両者だけではなく、インゲボルク・バッハマン、アーダルベルト・シュティフター、ハインリヒ・ハイネ、リヒャルト・ヴァーグナー、フリードリヒ・ニーチェ、ポール・オースター、エドモン・ジャベスらも含まれ、テーマとしては錬金術、カバラ、戦争と飛行機、書物、映画などにおよんでいる。様々な形象やテーマからツェランとキーファーの近さと遠さ、すなわちユダヤ性とドイツ性の葛藤が歴史的文脈の中で浮かび上がるように構成されている。その結節点となるのが、Bild(詩的形象/視覚的イメージ)である。2014年度に行った3度の学会発表、および1本の論文は、それぞれ本書の1つの章をなしている。
これまで私はツェランを中心に研究を進めてきたが、本書ではツェランの詩にインスピレーションを受けて制作しているキーファーというドイツ人の現役の画家ふたりを、いわば楕円上に配置し、複眼的考察を行った。必然的に第二次世界大戦ややユダヤ人虐殺なに関わる(集団的)記憶をいかに保存するかという問題にもかかわり、最近の原発問題ついても触れた。
パウル・ツェランとブコヴィーナの問題はやや背景に退いた感があるが、本書でも、若き日のツェランについて随所で述べられ、とりわけ『ニーベルンゲンの歌』が初期の詩作に及ぼした影響を考察している。ブコヴィーナについての独立した書物は次の課題として残されたが、本書の問題設定は今後も引き継がれていくことになる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 変転する水晶――ツェラン、シュティフター、キーファー2015

    • 著者名/発表者名
      関口裕昭
    • 雑誌名

      明治大学教養論集

      巻: 507 ページ: 127-155

  • [学会発表] 灰と鉛の想像力――アンゼルム・キーファーにおける錬金術とパウル・ツェラン2014

    • 著者名/発表者名
      関口裕昭
    • 学会等名
      日本独文学会
    • 発表場所
      京都府立大学(京都府・京都市)
    • 年月日
      2014-10-12 – 2014-10-12
  • [学会発表] ライン河のイメージの変遷――ハイネからツェラン、キーファーへ2014

    • 著者名/発表者名
      関口裕昭
    • 学会等名
      ハイネ逍遥の会
    • 発表場所
      名古屋国際会館(愛知県・名古屋市)
    • 年月日
      2014-06-28 – 2014-06-28
  • [学会発表] 砂、石、書物――ツェラン、ジャベス、オースターによるユダヤ詩的想像力の系譜2014

    • 著者名/発表者名
      関口裕昭
    • 学会等名
      日本比較文学会
    • 発表場所
      成城大学(東京都・世田谷区)
    • 年月日
      2014-06-15 – 2014-06-15
  • [図書] 翼ある夜 ツェランとキーファー2015

    • 著者名/発表者名
      関口裕昭
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      みすず書房

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi