研究課題/領域番号 |
24520376
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
関谷 一彦 関西学院大学, 法学部, 教授 (40288999)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | フランス |
研究概要 |
具体的内容 サドの『閨房哲学』の翻訳に取り組んだ。この作品はこれまでにも4人の翻訳があるが、その翻訳の多くが抄訳であり、最近のサド研究を踏まえた注を付したものはない。ドゥプランがプレイヤッド版で詳細な注を付けて、『閨房哲学』のテクストにどのような思想が入り込んでいるのかを明らかにしようとしたが、それをもとに注を付して全訳を試みた。また、訳者解説でより詳細な影響関係を明らかにするつもりである(現在執筆中)。とりわけ『閨房哲学』の中には「フランス人よ、共和主義者になりたければあと一息だ」というフランス革命当時のパンフレットが含まれている。サドはこのテクストを革命の進行中に書いており、リベルタン文学とフランス革命との結びつきをよく示している。したがって、このテクストを翻訳すると同時に、テクストの背景にある革命当時の状況とリベルタン思想の結びつきを資料を集めながら分析した。本翻訳は『サド全集』(水声社)から出版される予定である。 意義・重要性 このような翻訳とテクスト分析から、リベルタン思想を表わしたサドの文学テクストがフランス革命からどのような影響を受けて生成されていったのかを明らかにすることは、進行中の革命とリベルタン思想の形成という点で面白い問題を提起している。また、『閨房哲学』はこうした政治的パンフレットを含むリベルタン思想を表わしているだけでなく、それが性と結びついている。この点でも研究課題に対してこの作品の分析は重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年度はサドの『閨房哲学』の翻訳に時間をとられてしまった。この翻訳は研究課題と結びついているが、それ以外のリベルタン文学についての総括的な研究は遅れている。まずは翻訳の完成を目指すが、それ以外のリベルタン文学の全体像についての研究に今後シフトしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度はまず『閨房哲学』の訳者解説を完成させ、それとともに同書の「フランス人よ、共和主義者になりたければあと一息だ」のパンフレットの分析を進めたい。それと並行して現在やや遅れているリベルタン文学の全体像を明らかにするために、資料をさらに集めて分析する。版画資料についても、サドの図書については集めているが、それ以外のリベルタン版画についてもさらに資料を集めて分析を始める予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度の研究費は主に資料の収集、とりわけリベルタン文学をより多く集めたい。またリベルタン文学関係についての図書も集めることができる限り集めたい。また、フランス人研究者とも打ち合わせを行うために渡仏する予定である。
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