研究課題/領域番号 |
24520377
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研究機関 | 甲南女子大学 |
研究代表者 |
谷川 冬二 甲南女子大学, 文学部, 教授 (50163621)
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研究分担者 |
梨本 邦直 法政大学, 理工学部, 教授 (30340748)
池田 寛子 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (90336917)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 近代アイルランド語 / カトリック系イングランド人 / アイリッシュ・カレッジ / 規範的文体 / 歌謡 / 民俗伝承 / 神学的解釈 / 17世紀ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績として、二本の柱がある。三年間継続して行ってきたジェフリー・キーティング(Geoffrey Keating)が著したForas Feasa ar Eirinn(以下Foras Feasa)の解読と、2014年秋に開いたタイグ・オドゥーラニャ氏を講師とするセミナーである。また、今期科研費を使用していないものの掲げたテーマ「アイルランド語文献と音声資料による近代アイルランド言語文化の多角的研究」に含みうる活動として、ブライアン・メリマン著『真夜中の法廷』の訳書の編集・出版がある。 Foras Feasaの解読は予定より遅れがちではあったが、言語学的、文学的、神学的、歴史的、民俗的その他の視座から精緻な検討を加えつつ進められた。若手研究者二名の渡英、あるいは一時離脱が痛手ではあったが、この書物の原題「アイルランドに関する知識の基礎」が示す通り、この解読がアイルランド理解の基となってきた知の正体を問い直す作業そのものになることは疑いなく、京都アイルランド語研究会の仕事として今後も継続していきたい。 オドゥーラニャ氏からは、10月10日から21日の滞在中、京都アイルランド研究会のみならずわが国のアイルランド研究者に多大の知恵を頂戴することになった。京都でのセミナーは18日、19日の両日、いずれも午後いっぱいを使い、ホテルコープイン京都にて開かれ、成功裡に終わっている。 ブライアン・メリマン著『真夜中の法廷』の翻訳・編集・出版は、Foras Feasaの解読と並行して、京都アイルランド語研究会の科研プロジェクトを前期まで担っていた梨本邦直を代表として行われた。結果として生まれたのは、英語以外への翻訳としては世界で二例目、ドイツ語への翻訳から135年ぶり、語彙集や多様な視点からの解説、さらには文法構造を示す英訳まで加えた画期的な三言語版であった。
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