日本近代詩の外国語翻訳は膨大な蓄積があるが、これまで十分に研究がなされてきてはいなかった。本研究では、とくに英語およびフランス語による翻訳アンソロジーを対象として、それらの翻訳テクストについて書誌的に調査し、その文献データの整理と分析を行った。その上で、最新の翻訳理論を踏まえながら、主要なテクストに関して、その翻訳としての性格自体の考察を進めた。そのような研究によって、アンソロジーの内容および性格の歴史的変化、海外における日本近代詩の理解と受容の実態、そして英語・フランス語圏における日本近代詩翻訳の特質と意義を明らかにした。
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