本研究の目的は、アフリカ・イメージの形成と変遷とを、「史実」の検証を含め、歴史書、地理書から、使節記、旅行記等の体験記、及び戯曲や小説等の文学作品、特に「大衆」に支持された作品の考察・分析を通して、複合的に究明しようと試みる。1868年アビシニア戦争を例に取り上げ、詳しく分析を施した結果、イギリスではアフリカという場がことさらアビシニアを「野蛮」な地に貶める装置として働くことが明らかになった。一方、日本におけるエチオピアのイメージは、使節団の訪問によって後進的なアフリカ・イメージが一掃され、ポジティブな像が結ばれた。
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