5月に天津津南区小站で旅遊文化節とこの行事に参加した香会の調査をし、同市葛沽鎮では香斗母茶棚と法鼓会の会首から聞き取りをした。北京では妙峰山廟会に参加し、香会および近年に建てられた石碑の調査をした。近十数年のあたらしい石碑がものが22座くらいあることを確認した。山東省は華北と華南を陸海でつなぐ位置にあり、本研究の視点からみれば、南の媽祖信仰と北の碧霞元君信仰が交錯している地域であるため二つの信仰に関する遺跡が多い。8月に山東地域の廟と碑文を集中的に調査した。 10月には 台湾台南で開催された国際学会に参加し観音信仰について発表した。そのおりに台南の斗母廟や天后宮(媽祖廟)を調査でき、大陸と台湾を比較する観点を得ることができた。 研究成果としては、学会発表が、9月に湖北省孝感市で開催された「重陽与亜洲孝道文化国際論壇曁国際亜細亜民俗学会第15次学術大会」に参加し、「敬老文化与民俗学-従日本民俗学史来看的成果与課題」を発表した。そのときの論文は、中国の学術雑誌『民俗研究』2015年第2期(総第120期)p74-80に掲載された。また10月に台湾台南市で開催された「觀音信仰國際學術研討會」に参加し「災害与観音・地蔵信仰」を発表した。そのときの論文は2015年に出版された『府城大觀音亭與觀音信仰研究論文集』(p799~821、査読あり)に収録された。 また2015年夏に出版予定の『世界女神神話大事典』原書房に、廟会で祭祀される道教、民間信仰の女神(娘娘)についての概説と項目を執筆した。執筆の内容は科研費研究によって得られた知見にもとづいている。 今年度は本科研費の最後の年になるので、3年間の成果を報告書にまとめ、『華北地区的廟会及其民間祭祀組織(香会)的調査記録与考察-以北京・天津為中心』総470頁として出版した。
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