研究課題/領域番号 |
24520396
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高橋 文治 大阪大学, 文学研究科, 教授 (00154857)
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キーワード | 祭祀演劇 / 宗族 / 壁画墓 / 戯曲文物 / 元典章 / 廟制 / 神話 |
研究概要 |
本研究課題は、中国における祭祀と文学の関係を、主に宋金元期の墳墓、法制史料、戯曲資料、祠廟資料、宗教史料等を用いて明らかにしようとするものである。平成25年度は平成24年度に引き続き以下の研究活動を展開して、それぞれにつき成果を蓄積し得た。 1.宋金元期の墳墓についての研究――宋金元期の墳墓に関わる考古学的発掘調査記録を収集・整理し、墓誌、買地券、墓内題記等の文字資料、ならびに壁画や磚雕等の文物資料を整理した。この時期の華北における墓制はほぼ明らかにし得たので、その成果を日本道教学会において発表した。 2.法制史料の研究――難解で知られる『元典章』の訳注を「礼部」、「刑部」の一部、「戸部」の一部につき行い、宗族に関わる元朝期の諸局面を抽出した。ここで得られた成果については、現在、将来の成果刊行に向けて整理中である。 3.戯曲資料の研究――平成24年度に引き続き、南戯「琵琶記」「白兎記」「荊釵記」、元刊雑劇三十種等の研究を行った。また、これとは別に、宗廟祭祀に関わる文物、戯曲資料の研究を行い、そこで得られた成果は、宋金元期の墓制に関わる研究成果とともに、日本道教学会において発表した。 4.神話と宗教についての研究――神話に関わる研究として、宋金元期の華北における女神廟の形成と発展に関わる資料を収集し、その祭祀が宗廟祭祀といかなる関連にあるかを整理した。この成果については平成26年度中に一部を公表する予定である。また、宗教にかかわる問題として、元朝期の道教と祭祀の関連を一部明らかにし、その成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題が当初予定した1.「法制史的研究」、2.「戯曲文学の研究」、3.「墓制の研究」、4.「祠廟祭祀との関連」のいずれの方面においても、それぞれ順調に成果を蓄積しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通り計画を進めていく。 本研究課題が当初予定した1.「法制史的研究」、2.「戯曲文学の研究」、3.「墓制の研究」、4.「祠廟祭祀との関連」のいずれの方面においても順調に成果を上げつつあるが、墳墓や祠廟に関わる、現地調査が平成25年度までは十分には行われていないので、平成26年度は、中国の華北に残存する宋金元期の墳墓ならびに祠廟を実地に調査・見聞する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究課題遂行のため、平成25年度に、中華人民共和国に都合3回の調査旅行を計画していたが、中華人民共和国の受入機関、ならびに本研究課題研究代表者の日程調整が不調であったため、旅費として計上していたものがすべて未使用となった。 また、当初は研究補佐員が行う予定であった資料の整理等を研究代表者みずからが行ったため、人件費として計上したものが未使用となった。 平成25年度に予定していた中華人民共和国への調査旅行を、平成26年度に一括して行う。また、当初人件費として計上していた予算は平成26年度の旅費の一部に当てるものとする。
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