研究課題/領域番号 |
24520398
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 大志 広島大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (90309625)
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キーワード | 楽府 / 中国古典文学 |
研究概要 |
平成25年度は南北朝隋唐期の文献に於ける楽府・楽府詩に関する言説の収集・整理作業を完了した。これは研究課題である南北朝隋唐期の楽府と楽府詩をめぐる諸問題を考える基礎作業に当たり、この基礎資料を基にそれぞれの内容を検討することによって、最終的には当時の楽府及び楽府詩に対する認識を明らかにする。現在は、その分類表を作成し、全体を俯瞰する視点を得る段階にあり、今後は個別の資料に即しつつ、課題の解明に取り組む。 また上の作業の過程で、南北朝隋唐期楽府詩に頻出するモチーフの中、南北朝から隋唐にかけてその性質が変容しているものをいくつか抽出することができた。この楽府詩のモチーフの変遷についても、楽府詩に関する個別的問題として、今後もう少し調査の対象を広げつつ考察を加える。そこでは特に唐代の楽府詩について初唐期から晩唐期に至るまでの変遷とその理由の究明を課題とする。 楽府の制度的側面の研究としては、『隋書』音楽志下の俗楽に関する部分について、その読解と注釈作業を行った。『隋書』音楽志の日本語訳及び詳細な注釈はこれまで我が国では行われておらず、今回その訳注作業を終えることで一定の成果を示すことができた。『隋書』音楽志については、既に雅楽部分の読解と注釈作業を終えており、今回の成果を合わせて、また『宋書』楽志など『隋書』音楽志に先行する資料との比較を通して、南北朝期の楽府の制度上の変遷及びそこにうかがえる楽府に対する認識を今後分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では本年度は楽府・楽府詩に関する言説の収集作業を完成させるとともに、その分析作業も開始する予定であった。しかし、資料の分類・整理に予想よりも時間を要したため、この分析作業が予定よりもやや遅れているものの、その他にはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は楽府・楽府詩に関する言説資料を分析・考察することを主たる課題とする。基礎的資料は既に収集しているので、その分類表を作成して全体像を把握するとともに、個々の資料の分析を行うこととする。また楽府の制度上の変遷については、前代の『宋書』楽志と『隋書』音楽志の構成意識から両者の楽府に対する認識の差異又は変容を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
予算額を全額執行したつもりであったが、計算ミスのため次年度へ少額を繰越こととなった。 当初の使用計画に従いつつ、繰越額を計画に加えて執行する。
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