研究課題/領域番号 |
24520403
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
谷口 幸代 お茶の水女子大学, グローバルリーダーシップ研究所, 准教授 (50326162)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多和田葉子 / 越境文学 / 演劇 / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
多和田葉子の作品の上演状況と多和田自身のパフォーマンスについて調査を継続実施した。 多和田作品の上演状況の調査では、第一に「夕陽の昇るとき~Still FUKUSHIMA~」(島田三朗演出、2015年8月20日、ピッコロシアター)の調査であり、第二に「ペルソナ」(西尾佳織脚本・演出、2016年3月24日公開稽古、26日・27日公演、森下スタジオ)の調査である。 前者は2013年に多和田葉子が書下ろした戯曲を劇団らせん舘が継続して上演してきたものであり、今回は「歌芝居」というテーマを掲げ、劇団らせん舘メンバー(市川ケイ、とりのかな、フランチスカ・ローザ)と兵庫県の有志(松中みどり、チェイス洋子、堀田紀子)が共演した。音楽的要素のなかった原作を「歌芝居」とし、音楽を融合させる試みとその意義について調査した。 後者は1992年に『群像』に発表された小説を演劇化したものであり、文化庁と日本演出家協会が主催した「若手演出家コンクール2015」で最優秀賞を受賞した。原作と脚本との異同、特に小説から演劇へという異なる表現形式への移行を可能にさせるために、主人公の内面描写をどう役者の身体表現で伝達するか、といった点を中心に調査した。 多和田自身のパフォーマンスの調査では、朗読をまじえた講演会を企画し、"Nur da wo du bist, da ist nichts"収録の「事件」とパフォーマンス用テキストの「魚説経」の朗読が実現した(2015年8月4日、お茶の水女子大学)。またジャズピアニスト高瀬アキとのコラボレーション「猫も杓子もカントル」(2015年11月5日、シアターカイ)において猫をテーマにしたパフォーマンスの調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多和田の「サンチョ・パンサ」とマヤコフスキーやシェイクスピアの作品をコラージュした"Sancho Pansas Manifest"(2016年1月8日、9日、23日、ベルリン)に関する調査が、公演日が学期中で不可能だったため。
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今後の研究の推進方策 |
上記「現在までの進捗状況」に残された課題として記載した"Sancho Pansas Manifest"の公演が、日本語バージョンではあるが、2016年にも予定されているため、そちらの調査を実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
"Sancho Pansas Manifest"の公演に関する調査を日程の事情で見送ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に公演が予定されている"Sancho Pansas Manifestの調査を実施する。
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