この書誌学的・文献学的研究は、「インド学・仏教学の成立と展開は、近代日本人の精神形成とも密接な関わりを持つものであり、近代以降世界的な規模で爆発的に激化する出版文化、膨大な数量に上る硬軟・多様性に富む個々の書物への審及を通じてのみ闡明し得る」との堅固な見通しの下に開始された。 だが書物の大半は散逸し、今や歴史の渦の中に埋没しつつある。それら貴重な書物の収集とその書誌の作成、さらに個々のトピックに肉薄するそれらのきめ細やかな解読と綜合を継続的に累積することによって、その成立と展開の実相を、具体的かつ生き生きと、歴史的に解明した。
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