本研究プロジェクト最終年度の主な研究実績は以下の通り。 ・まず、研究成果に基づく啓蒙的社会還元の活動として、学部生レベルの聴衆を対象としたワークショップで、項削除現象と動詞の項選択特性に関する招聘講演を行った(2015年6月27日南山大学言語研究センター)。 ・また、本研究テーマに関わる専門研究者との情報交換、最新の研究動向視察のため海外を含む複数の国際学会/全国学会(Cambridge Comparative Syntax 4( 5月7 - 9日)、南山大学第50回コロキアム10月10日、Formal Approach to Japanese Linguistics2月18-10日三重大学 、日本英語学会11月21 – 22日関西外国語大学、日本言語学会11月28-29日名古屋大学) に参加した。東アジアの言語と欧州系の言語における項削除現象の類似点相違点に関して、有益で活発な議論・意見交換を行うことができた。その成果の1部は、以下の学会発表及び論文として発表した。「削除現象における焦点効果と項選択」(日本英文学会北海道支部での口頭発表11月1日)、A Note on Ellipsis-Resistant Constituents (Nanzan Linguistcs 11)。 日本語における項削除現象に関するこれまで明確に論じられてこなかった現象(「敬語一致現象」や「(非)焦点化効果」)に関して、新しい知見を深めることができた。さらに、副詞類などの削除現象に関しては、焦点化効果をはじめ項削除よりも厳しい条件が必要であることが明らかになりつつあり、その特性をより明確にしていくことがこれからの重要な課題となることが明らかになってきたことも、本研究の今後へつながる貢献であると考える
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