本研究は,自然談話の文法を構築するために,自然談話で特徴的に用いられる言語標識の機能の解明を行うものである。実際の自発的自然談話の収集と,各談話に見られる言語指標の整理および,発話交替や発話重複,発話の途切れ等,会話構造における言語構造の解明を目標とする。その成果としてまず,東北大学TEQCSJコーパスを作成した。これは分析の基盤となる自然談話資料の収集および整備である。1197分の自然談話の精密な転写と音声データから構成される。このデータをもとに,連鎖する節連鎖の特徴について,国際学会にて発表し,全国学会誌で研究を公開するなど,最終年度として成果の公表を行ってきた。コミュニケーション上の言語の機能を分析するために,音声データや身振り等の身体動作をも含めたマルチモーダルの分析も進めた。語り内において連鎖する節の音声特徴を,語りの構造とターン交替システムとの関連から分析した。(『認知言語学論考12』ひつじ書房に所収)。語りにおける節連鎖構造とターン交替について,第8 回日本語実用言語学国際会議THE EIGHTH INTERNATIONAL CONFERENCE ON PRACTICAL LINGUISTICS OF JAPANESE (ICPLJ8)で発表した。語り内において連鎖する節の音響特徴:順番取りシステム再開位置との関連からについて言語科学会(Japanese Society for Language Sciences)第16 回年次国際大会(JSLS2014)で発表した。語りの達成における思考・発話の提示について社会言語学会の学会誌に2015年3月に掲載された。
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