研究課題/領域番号 |
24520418
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宇都木 昭 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60548999)
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研究分担者 |
五十嵐 陽介 広島大学, 文学研究科, 准教授 (00549008)
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音声学 / 音韻論 / VOT / イントネーション / 方言 / 社会言語学 / 韻律 / 無アクセント |
研究概要 |
本研究は,共通語と大きく異なる音韻体系を持つ方言が共通語圏と近接しているとき,方言圏にどのような変異が生まれ変化するかを,音声学・音韻論的側面から明らかにすることを目標として掲げた。具体的には,茨城県の方言を対象として設定した。 まず,5月に本プロジェクトメンバーによるミーティングを筑波大学において実施し,研究の具体的な方向について議論した。そして,本年度中に茨城県の4地域(県北,県央,県南,県西)の老年層50名を対象としたフィールド調査を行うことに決定した。調査項目は,(1)文法・音韻の基礎的特徴,(2)イントネーション,(3)VOT (Voice Onset Time)・声質の大きく三つから構成される。 以上の計画にもとづき,7月~8月および1月~2月の2回に分けて録音調査を実施した。メンバー3名で分担して現地調査を行い,録音をとった。得られたデータを集計・分析するにあたっては,筑波大学の学生を雇用した。 現在までの時点で結果がある程度まとまっているのは,(3)のうちVOTの分析である。録音データを音響分析し破裂音のVOTを計測した結果,茨城県の多くの地域で有声破裂音がわずかにプラスの値をとる傾向にあるのに対し,古河市を中心とした県西地域の一部でマイナスの値をとることが明らかになった。先行研究によれば,有声破裂音におけるプラスVOTが東北地方に,マイナスVOTが南関東に観察され,茨城県内においては県西をのぞきプラスVOTになるという。本研究の結果は,この先行研究の結果とおおむね一致するものであり,地理的な分布をより詳しく明らかにするものとなったと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
茨城県の老年層を対象とした調査が本年度の計画の主要な部分であった。これを達成できたという点で,計画はおおむね順調に進展しているということができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,平成24年度の調査によって得たデータのうち分析がまだ済んでいないものについて分析を進めるとともに,その結果を学術大会に発表する。 また,平成24年度の調査をふまえ,より発展的な調査(イントネーションに関する詳細な調査,アクセントの調査など)を茨城県内で行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は分析補助アルバイトの選定が難航し雇用の開始が遅れたため、人件費をはじめとする経費が予定額よりも少なくなった。 平成25年度は、分析を進めるため、分析補助アルバイトの人件費を多く必要とする。 また,打ち合わせ,学術大会における発表,および追加の現地調査のため,旅費を必要とする。 このほか,分析にかかわる追加の物品購入と関連文献の購入のために物品費を必要とする。
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