研究課題/領域番号 |
24520418
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宇都木 昭 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 准教授 (60548999)
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研究分担者 |
五十嵐 陽介 広島大学, 文学研究科, 准教授 (00549008)
佐々木 冠 札幌学院大学, 経営学部, 教授 (80312784)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 音声学 / 方言文法 / 茨城方言 / 千葉方言 / 言語変異 |
研究実績の概要 |
前年度までは,茨城県の各地で調査を行い,そこで得たデータのうちでも特に,有声破裂音の変異の分布や文法項目に注目して分析し,考察を進めてきた。その中で,茨城県にみられる特徴のうちのいくつかが千葉県にも観察される可能性が浮上してきたため,本年度は千葉県で,これまでと同様の調査を行った。 調査対象としたのは,千葉県内の 7 自治体(野田市,印西市,成田市,香取市,銚子市,茂原市,南房総市)である。ここで得たデータを用い,分担者の一人である佐々木が,格助詞「げ」の起源をめぐって新たな説を提案した。 3 年間の研究期間全体としては,茨城県内の 10 自治体と千葉県内の 7自治体で調査を行い,協力者の総数は 100 名を超える。限定された地域の中でこれだけ多くの協力者のデータを得られたことは,画期的と言えるだろう。これらのデータをもとに,有声破裂音の発音の変異の分布を明らかにすることができた。また,先に述べた格助詞「げ」の研究も,本プロジェクトで得たデータをもとにしている。 一方で,本プロジェクトで得た大量のデータを, 3 年間の研究期間内に全て生かし切れたとは言えないことも事実である。収集したものの分析が完了していない録音資料も多く残っている。研究期間が終了したとはいえ,分析の完了していないものについては,引き続き分析を進め,収集した録音資料を最大限に生かせるような努力が,今後も必要であろう。とりわけ,声質やイントネーションの解析結果がまとまれば,茨城方言研究のみならず一般音声学的にも重要な発見になる可能性があり,今後の継続的な研究が必要とされる。
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